これまで使用してきた蛍光灯を
LED蛍光灯に変更する場合、
電気工事士による工事が必要となります。
工事と聞いて気になるのが工事費用ですよね。
工事費などの初期費用だけを考えて
安易にLED化を進めてしまうと、
メリットだと思っていた節電効果が
得られないことがあります。
ここでは、
LED化のための工事とはどのようなものか
工事をしなかった場合のデメリットに着目して
ご紹介させていただきます。
1:LED化のための工事とは
「LED化のための工事」と聞くと、
蛍光灯をLED専用の蛍光灯に取替えれば
大丈夫だと思ってしまいませんか。
実は、大掛かりな工事が
必要となることをご存じでしたか。
具体的にどんな工事が必要となるのか
見ていきましょう。
1-1:バイパス工事
これまで利用していた蛍光灯を
LED蛍光灯へ変更するためには、
バイパス工事(直結工事)
が必要となります。
この工事は、簡単に言うと蛍光灯を
利用するたに設置されていた安定器を
取り外しLED蛍光灯対応の配線に
変更するす工事のことをいいます。
蛍光灯は、すべての器具に安定器と呼ばれる
装置が搭載されています。
この安定器の役割は蛍光灯を発光させて、
明かりを安定させるために必要な装置なのです。
この装置はLEDを発光させる
際には必要がなくなるため取り外し
工事が必要となるのです。
1-2:電源内蔵型バイパス工事
バイパス工事方法は1つではなく、
LED蛍光灯の種類によって
複数存在します。
工事の方法として以下4つの方法に
分類されています。
- 片側給電方式
蛍光灯の片側のピンにそれぞれ
+-の電圧を印加する方法です。
この片側給電方式は、一番多く利用されている方法です。 - 両側給電(片ピン接続)方式
2つの両側給電方式は、蛍光灯の片側1つのピンに+、
もう一方の片側のピンに-を印加する方法です。 - 両側給電(両ピン接続)方式
蛍光灯の片側の両ピンに+、
もう一方の片側の両ピンに
-を印加する方法です。 - 両側給電(片側給電ダブル)方式
片側給電を両方の口金に配線する方法になります。
電源内蔵型バイパス工事は、
照明器具を改造する必要があります。
そのため、工事をすることで
メーカーからの保証を受けることが
できなくなってしまいます。
しかし、照明器具の安定器を取り外すことで、
事故の発生原因となる不安要素を無くすこと
ができるため、安心して利用することが
可能となります。
2:LED化のバイパス工事のメリット
バイパス工事のメリットは、これまで
使用していた照明器具が再利用できるため、
LED化を導入するための経費抑えることが
できるため経済的と言えます。
安定器が多少異音を発していても、
ソケットに問題がなければ、
そのまま使うことが可能です。
3:LED化の工事をしなくて大丈夫?
LED化をするためには、工事が絶対に
必要なわけではありません。
工事が不要ならば、格安でLED蛍光灯を
設置することができるので、メリットばかり
だと思いがちです。
ここでは、デメリットにスポットを
当てて見ていきましょう。
3-1:既存の安定器を利用するデメリット
安定器には、磁気式と電子安定式の2種類があり、
蛍光灯の種類によって使用されているものが異なります。
工事が不要となるLED蛍光灯を利用する場合、
選び方が難しいと言われています。
それは、構造上磁気式と電子安定式の
両方を使用することができる商品が
ないためです。
そのため、すでに設置してある安定器によって
使用できるLED蛍光灯の商品が異なってきます。
ここで注意していただきたいのが、
インターネットで価格だけに着目し、
購入してはいけません。
既に設置してある安定器に適合しない
LED蛍光灯を取り付けた場合、火事などの
事故を引き起こす可能性があるため、
専門家に相談することをオススメします。
3-2:電力消費に関するデメリット
工事が不要のLED蛍光灯を利用する場合、
既存の安定器を利用するため、余計な消費電力
がかかってしまいます。
この余計な消費電力は、
1台5Wと言われています。
これを1ヵ月の消費電力に計算すると
1台約20~30円に該当します。
節電のためにLED蛍光灯に変えても、
無駄な電力を消費してしまったら
残念ですよね。
3-3:安定器の寿命知っていますか
既存の安定器は永遠に
使用できるものではなく、
必ず寿命が訪れます。
一般的に安定器の寿命は、
約10年(40000時間点灯)
と言われています。
LED蛍光灯の寿命も約10年と
言われているため、LED蛍光灯の
点灯が切れる前に安定器寿命が
きてしまう可能性が高くなってきます。
これまでの蛍光灯は、
安定器の寿命が訪れると、
異音を発したりするなどの
異変がありました。
従来の安定器でLED蛍光灯を利用していた場合、
このような異変が起こらないため、使用し続ける
ことで事故の原因になりやすいと言われています。
4:賃貸契約のテナントのケース
LED蛍光灯を利用するためには、
工事をした方が長い目でみた場合、
メリットが多いことをお伝えしていきました。
しかし、メリットが多いと言っても
設置することが難しいケースがあります。
たとえば、賃貸契約のテナントのケースです。
賃貸契約のテナントの場合、工事をするときには、
事前にビルのオーナーに施工許可をとる必要があります。
そして、賃貸契約を解約し他に移る際には
原状回復をする義務が発生するため、
工事費用が発生するのです。
賃貸契約の期間は、通常2~3年です。
賃貸契約を結んだ借主が将来的に移転することを
考えている場合、LED工事に踏み切ることは
かなりハードルが高くなる要素と
言えるのではないでしょうか。
LED蛍光灯は、専用の工事をすることで
安全に利用することが可能です。
しかし、安全性や使用中の電気代などよりも
賃貸契約のテナントの場合には、工事が不要の
LED蛍光灯を選択してしまうことが現実的と
いえるのではないでしょうか。
5:まとめ
今回、LED化をするための工事は1つではなく、
いくつかの選択肢があることをお伝えしました。
- LED蛍光灯に、点灯用電源回路が組み込まれており、
安定器を利用することなく既存の口金に供給する方法。 - 既存の安定器を利用するための工事を行い、
LED蛍光灯を利用する方法。 - 安定器を取り外してLED蛍光灯を利用する方法。
大きく分けると、上記3つの方法がありました。
LED化を検討する場合、工事費用、
手軽さをどうしても重視してしまいます。
そこだけしか考慮せずにLED化の工事を
進めてしまうと思いもよらないことが
起こってしまいます。
たとえば、電気料金を安くするために
LED化したにも関わらず考えていたより
蛍光灯を利用していた時と料金が変わらない。
また、LED化の工事不要の蛍光灯を
利用していたのに、火災事故が発生
してしまった。
ということもあります。
火災などの事故の発生もあるため、
個人で安易に選択するのは危険です。
安全、安心を確保するためにも、
家電業界で実績があるメーカーを
選ぶことが大切になってきます。
LED化工事のために交換した
商品に保証ついていない、
または1年程度のもの
だったらどうでしょう。
負担するのは、自分自身です。
LED蛍光灯は、長期間利用可能なため、
これまでの蛍光灯のように消耗品と考えず、
10年使用することを視野に入れて
正しい工事の方法を選びましょう。
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