「会社の利益を上げたい」そう考えたとき、コスト削減を思い浮かべるのは、製造業においても同じです。
しかし、むやみやたらになんでも削減を考えるのは早計です。
きちんとした手順を踏んで、作業を進める必要があります。
また、経営者の一方的な押し付けて進めるのではなく、従業員への周知も含めて、意識付けをしっかり行って進めると効果倍増になります。
そのことを踏まえたうえで、11の具体的なアイデアを見ていきましょう。
1.製造業におけるコストとは
製造業においては、売り上げに占める製造コストの割合が多いとされるため、コスト削減は大切な取り組み事項となります。
製造業のコストとは一体何でしょうか?
販売業であれば、商品のコストは仕入れ価格になりますが、製造業においては、製造した製品のコストはすぐにはわかりません。
なぜかというと、製品のコストは主に以下の3つに分類され、計算しないとわからないからです。
その3つとは、
- 製品を作るための「材料費」
- 製品を作るために、材料を加工する費用「労務費」
- 材料を加工するために必要な電気代などの「経費」
です。
今回紹介したいコスト削減のアイデアは、この3つの中でも、「経費」と「労務費」に絞って、ご紹介したいと思います。
2.製造業コスト:「経費」削減のアイデア
「経費」も多くの種類があります。
お金をかけて実施する経費削減もありますので、実際にどれほどの効果があるのかは、直ぐにわからないケースもあります。
今では、これら「経費」の削減を専門とするコンサル業者もたくさんいますので、直ぐに実行に移すことが可能です。
2-1.照明の見直し
製造業の現場において、照明に使われる電気使用料は全体の約4割と言われます。
主に3つの見直しアイデアがあります。
「インバーター方式」
「LED照明」
「照明の間引き」
それぞれ説明していきます。
「インバーター方式」
蛍光灯などの照明器具にこれを採用すると、電気代の節約につながります。どれ位の効果があるかというと、約8%と言われています。
ただ初期費用がかかるので、大企業では採用されていますが、一般的にはまだ知られていない技術です。
「LED照明」
照明をLEDに変えるだけで、水銀灯に比べ、約8割の電気代を節約できます。
また、熱が極めて低いので、空調コストも削減できます。
こちらも初期費用がかかりますが、補助金制度がある自治体もあるので、上手に活用するといいです。
「照明の間引き」
初期費用をかけずに節約できる方法です。一般家庭と比べると、企業の作業現場は明るすぎると言われています。
従業員にも見える形で節約できるので、従業員の意識改革にもつながります。
2-2.空調設備の見直し
空調設備が老朽化などで効きが悪くなると、無駄な電気を消費します。
金属修復技術を用いた空調性能回復システムを使えば、電気代の10%~20%を節約できます。
エアコンの稼働時間が長いほど性能回復効果は大きくなります。
2-3.ガス料金の見直し
都市ガスの自由化に伴い、ガス料金を大幅に割引している業者も増えてきています。
これを機に、ガス料金の見直しをすることをおすすめします。
経済産業省に申請の必要がありますが、専門のコンサルタントに依頼すると確実です。
2-4.水道の見直し
「自家水道システム」 「節水弁の取り付け」という2つの方法があります。
「自家水道システム」は、会社の敷地内で水を確保する方法です。一般的には井戸を掘って地下水を汲み上げ、水処理装置で浄化して利用します。
この導入については、専門の業者がいるので手助けをしてくれます。
「節水弁の取り付け」
こちらは、初期費用が少なく、効果も高い節水方法です。蛇口に節水弁を取り付けるだけです。約30%節水できた例もあるので、是非オススメです。
2-5.排水や下水道料金の見直し
こちらは、あまり知られていないのですが、下水道に流れていかない「消失水」という水の量を下水道料金から差し引くという方法です。
この「消失水」は30%もあるとのことです。
こちらも業者がいるので、まず、シュミレーションにより導入可能かどうかを診断して始めるといいでしょう。
3.製造業コスト:「労務費」削減のアイデア
次にコストのうち「労務費」の削減についてです。
一般的には人件費の削減と一括りにされがちですが、人件費の削減といってもいくつかの方法がありますので、それぞれ紹介していきます。
3-1.仕事量の見直し
仕事量の見直しは、古くからの習慣を今一度見直してみようというものです。
もしかしたら、無駄な仕事をしている可能性も有り得ます。
また、一見複雑に見える仕事をマニュアル化することでアルバイトやパートに任せて、人件費を下げることも可能になります。
また、IT技術を利用できるところは利用することで、仕事量を減らすことも可能かもしれません。
3-2.生産性の向上
生産性の向上には、身の回りの小さなことを見直すことが大切です。そうすることで、無駄をなくすことができます。
日頃からの従業員への意識づけが大切ですが、備品の保管場所の整理整頓や場所の移動などで、ちょっとした改善を加えていくことにより、
生産性も少しずつ改善されていきます。
3-3.ロボットの活用
今やAI(人工知能)が様々な場所で活躍する時代になってきています。
これは、人件費の削減だけでなく、実は生産性の大幅なアップにもつながっていきます。
3-4.外国人の活用
国の政策として、国際貢献と、海外の国々の技術力アップのために外国人研修制度を設けています。
これをうまく利用することで、人件費を削減することができます。
3-5.国の雇用調整助成金の活用
こちらも国の助成金になりますが、景気の変動等経済的な理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整を実施することによって従業員の雇用を維持した場合に助成されます。
これらの助成金は、地域の商工会などの団体を通して申請できますが、条件が変わることもあるので、まず確認をしてみることをおすすめします。
3-6.人材派遣の活用
人材派遣会社から、必要な時だけ人材を提供してもらいます。
一時的な雇用には便利ですが、近年、正規雇用が重視されている現状ですので、むやみに数を増やすことは避けたほうがいいかもしれません。
4.製造業におけるコスト削減アイデアのまとめ
ご紹介したコスト削減のアイデアは、初期費用がかかるものもたくさんあります。
これらの効果を最大限に生かすには、現場の従業員の理解と、コスト削減の意識付けが不可欠です。
初期投資はしたものの、効果が全く上がらないということにならないよう、注意しなければなりません。
コメント