「キュービクルはどの程度の期間使用することが出来るのか?」と思いませんか。
今回はキュービクルの実際の耐用年数と、法律上で定められている法定耐用年数について詳しく解説していきます。
さらに後半ではキュービクルを出来るだけ長い期間使用できるようにするために気をつけておきたい考え方も、公開しています。
「キュービクルの導入を考えているけど、一体どの程度使える物なのか分からない。」という方は、こちらの記事を参考にして頂ければと思います。
キュービクルの耐用年数はどのくらい?
キュービクルは、様々な受電用の電気機器及び配線などをひとつの四角形の金属箱にコンパクトにまとめた高圧受電設備です。
その為、キュービクルの耐用年数は内部の機器類によりそれぞれ異なってくるので一概に何年とは言えません。
ただ、キュービクル内に設置されている基本的な電気機器類には、
法定耐用年数と呼ばれる基準の目安となる数値が設定されています。
法定耐用年数はやや短めに設定されている
キュービクルの耐用年数は、法定耐用年数によって定められています。
法定耐用年数は現実的な実年数と比較すると、やや短めに設定されている事が多いです。
ですので、キュービクル自体が法定耐用年数を越えたら使い物にならない、というわけではありません。
キュービクル法定耐用年数に分類される項目
キュービクルの耐用年数は、内部の機器類それぞれに詳細に耐用年数が設定されています。
キュービクルの内部の機器類の項目には、
- 変圧器
- ヒューズ
- コンデンサ
- 高圧遮断器
- 断路器
など様々な項目がありそれぞれ法定耐用年数が異なってきます。
キュービクル機器ごとの法定耐用年数と
キュービクル内に設置される基本的な電機機器類、JIS規格で定められておる電気機器類には「法定耐用年数」と呼ばれる機器類の交換時期の目安となる指標が示されています。
これらの法定耐用年数は、実際の実用年数よりもやや短めに設定されている点が、ポイントです。
以下にキュービクル内に設置される基本的な電気機器類の法定耐用年数、及び、「実用耐用年数の目安」をまとめておくので参考にして頂ければと思います。
【キュービクル内電気機器類の
法廷耐用年数、実用耐用年数の一覧表】
【変圧器】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:20~25年
【ヒューズ(屋内) 】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:15年
【ヒューズ(屋外)】
法定耐用年数:10年
実用耐用年数の目安:10年
【コンデンサ】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:15~20年
【高圧遮断器】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:20年
【断路器】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:20年
【高圧負荷開閉器】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:20年
【高圧カットアウト】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:20年
【避雷器 】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:15~20年
【計器用変成器】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:20年
【保護継電器 】
法定耐用年数:15年
実用耐用年数の目安:20年
こうしてみてみると、法定耐用年数と実際の耐用年数では5年ほどの差があることが分かります。
キュービクルはメンテナンスは必要ですが、一度設置すればかなり長期間使用することが可能です。
定期的なメンテナンスがポイント
キュービクルは電気設備の一つであり、耐用年数や寿命を考慮した管理が必要です。屋外設置と屋内設置で大きく寿命が変動し電流の流し方や使い方によっても大きく変動します。
先程記述した通り、税法上の償却資産の耐用年数としてキュービクルの耐用年数は15年と定められています。
ただ、実際に運用するキュービクルについては、メンテナンスを十分に実施していれば、15年を超えても問題なく稼働出来ます。
キュービクルの外箱は単なる鋼板ですので清浄な屋内環境で、再塗装、補修、清掃をしっかりと行っており、劣化が進んでいる内部機器の一部交換などを続ければ、30年という長い期間であっても使用可能です。
しかし、屋外設置の場合は雨、潮風、酸化ガスの影響を受けるため、外箱や内部機器に対し数年で錆が発生するおそれがあります。
頻繁なメンテナンスを実施しても20年も経過すれば外箱が全体的に腐食し内部機器にも深刻な腐食が発生します。
もし定期的な保守が行われないようであれば、キュービクル本体の交換といったことも検討しなければなりません。
キュービクル内部に収容されている高圧機器については、外箱とは別に、個別管理を行います。
負荷開閉器、遮断器は、短絡電流など事故電流を経験していなければ、15年~20年は問題なく使用でき実際に30年近くも運用し続けている高圧機器もございます。
しかし、大きな負荷電流を繰り返し開閉していたり、事故電流の遮断などを経験している遮断器は、短期間での故障が見られる傾向にあります。
長期間使用した高圧機器は、交換部品が手に入りにくくなります。
交換部品が手配できない機器が故障すると、新規品への交換に時間を要し、事故の復旧がなかなかできず、長期間の停電のおそれがあります。
交換部品の手配が困難になった機器は、すぐに新品に交換するよう計画すべきです。
事故の前兆を早期発見し交換する
定期点検で、異常な絶縁低下や、異音異臭・焦げ跡の発生が確認された場合は、運用年数にかかわらず即座に交換すべきです。
不良が発生している開閉器、遮断器を使用していると、負荷開閉時や遮断時にアークを消弧できず、短絡事故などが発生します。
電気事故により波及事故を起こした場合、経済産業省への電気事故報告の義務があり「なぜ事故が起きたのか」の詳細を報告しなければなりません。
絶縁低下を引き起こしている機器を放置していたことが判明すると電気主任技術者は法的責任を問われてしまいます。
高圧ケーブルや母線は、屋内であれば30年~40年程度、屋外であれば20年~30年で使用限界となり交換が必要である。
因みにケーブルや母線は、目視で異常を発見することが困難ですので、絶縁抵抗、絶縁耐力の試験を定期的に行い、事故の前兆が発見された場合は早期に交換するよう手配すべきです。
まとめ、定期メンテンスをすればキュービクルは30年使用可能
キュービクルは一度設置すれば15年から長くて30年も使用することが出来ます。
ただ、そのためには定期的なメンテナンスと異常が見つかり次第即部品交換をするという早期発見がとても大切になってきます。
キュービクルの設置にかかる費用は決して安いものではありません。
ただ、設置後と設置前での年間のコストカット額を比べるとすぐに元が取れるほど費用を削減することが可能です。
メンテナンスをしっかりと行い長期間キュービクルを使用して頂き大幅なコストカットを実現して下さい。
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