LED省エネムーブメント促進事業は、家庭で使用中の白熱電球2個以上とLED電球1個を交換する事業となっています。
この事業の目的は、都内のエネルギー消費量の1/3を占める家庭部門の省エネ化の促進を目的に、実施が開始されました。
使用していた白熱電球をLED電球に換えることで省エネ効果を実感して頂き、都内の個人1人1人省エネに対する意識を高めてもらうことが狙いにあります。
今回は事業の概要や交換までのステップとLED電球と白熱電球が電気代や寿命の観点からどのくらい違うかを数値化するとともにLED電球にはどんなメリットとデメリットがあるのかを見ていくことにします。
LED省エネムーブメント促進事業の開始と概要について
LED省エネムーブメント促進事業は、東京都内在住の方を対象に家庭で使用中の白熱電球とLED電球を交換する制度となっています。
事業における開始日時、期間、場所などの概要を順に見ていきましょう。
1-1:LEDの交換はいつから?
LEDへの交換は2017年7月10日から開始されています。
交付期間は1年間としていて、電球の配布数としては100万個を目標としています。
事業予算が無くなり次第終了することになっています。
交付対象者1人につき、交換できるのは1回のみになります。
LED電球はどこで交換できる?
LED電球の交換が行える場所、都内のLED省エネムーブメント参加協力店で交換できます。
そこで交換に必要な書類や、交換対象となる白熱電球などを持っていくことで、交換手続きができます。
■LED省エネムーブメント参加協力店|東京都
どんな人がLED電球交付対象?
交付対象となる人は、東京都内に住所を有している18歳以上の都民の方が対象となります。
白熱電球ならどんな電球でも交換できる?
交換できる電球には条件があり、それが以下のものとなります。
- 現在家庭で使用中のもの。未使用のものや破損しているものは交換の対象外になります。
- 36W以上の消費電力があるもの
- 口金サイズがE26(直径26cm)のもの持参した白熱電球のうち、1つ以上該当すれば交換可能)
※口金サイズは電球をはめ込む部分の直径サイズを指します。
以上が交換できる白熱電球の条件となります。
ただ、破損したものや未使用のものは交換対象外と書かれていますが、店舗によっては交換してくれるお店も存在している報告も見受けられます。
いずれにしても確実とは言えませんので条件を満たしたものを持参した方が無難と言えます。
電球交換に必要な書類は何がある?
白熱電球をLED電球に交換する際。本人確認するための以下のいずれかの書類を持参する必要があります。
- 健康保険証
- 運転免許証
- 運転経歴証明書(交付が平成24年4月1日以降のもの)
- マイナンバーカード
- 年金手帳
- パスポート
- 住民基本台帳(顔写真付きのもの)
- 身体障害者手帳等の官公庁が発行した各福祉手帳
- 官公庁が発行した各種免許証
または身分証明書
家電店で渡されるLEDはどんなもの?
LED電球であればどんなものでも選べるかといえば、そうではなく提供されるLED電球には規約があります。
- 口金サイズがE26(直径26cm)のもの
- A型形状の電球のみ(ボール型やシャンデリア型など他の型は対象外になります)
- 40W相当もしくは60W相当の電球の2種類
- (40Wと60Wの2つを持参した場合どちらでも交換可能)
- 断熱材施工器具対応または密閉形器具対応のもの(調光器対応は対象外)
以上の規約条件に当てはまる電球が配布されます。
交換する白熱電球を持参時に使用用途に応じたLED電球を家電店が選ぶ形となっています。
LED電球のメーカーに関しては基本的にその店舗の取り扱いのメーカーになります。
三菱電機系であれば三菱のLED、パナソニック系であればパナソニックのLEDを渡される可能性が高いです。
メーカーのこだわりがある場合は取り扱いメーカーに応じた店舗に行くことをおすすめします。
なお、交換した後のLED電球は返品・取替は受け付けられません。
法人や自治会は対象になる?
こちらの事業は家庭の省エネ促進を目的とした事業になるため、法人や自治会で使われている白熱電球は対象外となっています。
1-8:住民票を都内に移していない場合はどうなる?
最近引っ越してきたばかりで都内に住民票を移していない場合、都内に住所があることが確認できません。
その場合は交換対象外となりますので、まずは都内に住民票を移す手続きをお済ませください。
LED電球交付までに行なうこと
手順1
現住所の近くにある参加協力店に交付対象の白熱電球2個以上と本人確認ができる書類を持参します。
手順2
店舗にて受領証を渡されますのでそれに必要事項を記入し、本人確認可能な書類で本人確認を行います。
手順3
持参した白熱電球が交換対象か確認した後、持参した白熱電球は不正防止のため店舗にてハンマーで叩き使用不能にします。
手順4
すべての手続きが終了後LED電球を店舗にて受け取ります。
LED電球の箱には都内の事業で交換したLED電球を見分けるため、『転売防止シール』が添付されます。このシールは一度貼り付けられると剥がしても文字が残ります。
以上がLED電球交換の手順となります。一度、LED電球に交換すると返品ができない点は、ご注意ください。
白熱電球とLED電球の省エネ比較
LED省エネムーブメント促進事業で白熱電球をLED電球に交換する目的はLED電球を使うことへのメリットを実感してもらうための取り組みでもあります。
しかし、事前にどのくらい違うか?
LED電球に換えることのメリットをある程度把握しておきたいですよね
電気代、寿命、手入れの手間、その他の特性などあらゆる面からどんなメリットがありどんなデメリットがあるのかを比較してみましょう。
LED電球は白熱電球に比べ電気代はどのくらいお得に?
LED電球の消費電力は白熱電球の消費電力と比較して、約1/5(20%)程度と言われています。
ただ、実際のところ白熱電球の60W相当のLED電球の消費電力を調べてみると…7W~9Wの消費電力が記載されていることが多いです。
単純な消費電力だけで見ると現在のLED電球は1/5よりもはるかに小さい消費電力になっているようです。
次に電気代の比較をしてみます。
どちらも60W型相当の電球同士で比較計算してみます。
白熱電球の消費電力は60W、LED電球の消費電力は製品によりバラつきがありますが7Wと9Wの2種類のパターンで比較計算してみます。
1日平均10時間使用したとすると1年間365日で3650時間使用したことになります。
1kWhあたり27円で計算していきます。
- 60Wの白熱電球
60(W)÷1000(k)×3650(時間)×27(円)=5913(円) - 7WのLED電球
7(W)÷1000(k)×3650(時間)×27(円)=689.85(円) - 9WのLED電球
9(W)÷1000(k)×3650(時間)×27(円)=886.95(円)
1日10時間を1年間使用した差額は、
7WのLED電球で5,223.15円
9WのLED電球で5,026.05円
計算上では年間5000円以上の差が発生してきます。
たかが5,000円だけだと思ってしまいがちですが…これは電球1つのみを白熱電球からLEDに換えた場合になります。
2つの電球を換えれば10000円
3つの電球を換えれば15000円
電球を換える量が増えれば増えるほど
その差額は大きなものになります。
そして、それを10年間続けると、
1つ換えた場合だと50,000円
2つ換えた場合だと100,000円
電気代だけを考慮してもかなりの差額が発生します。
電球の消費寿命と交換回数はどのくらい違う?
白熱電球の平均的な寿命は1,000~2,000時間程度と言われていますので最低1,000時間、最大2,000時間とします。
そして、LED電球の寿命は40,000時間と言われています。
先ほどの電気代と同じく、1日10時間使用し10年間使用したときを想定しましょう。
白熱電球の交換回数と交換にかかる費用
電球1つの寿命1000時間とした場合、1日10時間使用とすると寿命は100日となります。
この場合の電球の10年間の交換回数は36回、電球1つの寿命2000時間とした場合、1日10時間使用とすると寿命は200日となります。
この場合の電球の10年間の交換回数は18回、白熱電球1つ約300円になりますので交換にかかる費用は
最低:5,400円
最大:10,800円
LED電球の交換回数と交換にかかる費用
電球1つの寿命は40,000時間なので1日10時間使用とすると寿命は10.96年もつことになります。
つまり10年間は交換ゼロで使うことが可能になります。
現在はLED電球1つが約2,000円となりますが、10年間の電球購入費の点でもLEDの方が安く済むことになります。
これは単純に費用だけの比較でしたが、更に言えば電球交換の手間がほとんどかからないということです。
白熱電球は18~36回は交換が必要ということですが…電球が切れるごとに購入する必要があることを考えると手間がかかります。
電球交換の労力も考慮するとLED電球に交換するメリットは大きいと言えます。
LED電球のメリット・デメリットを考える
電気代や寿命の観点ではLED電球に換える方がお得というお話をしてきました。
しかし、このようにメリットばかりではなく、LEDの特性から白熱電球に比べてのデメリットなどもあります。
そのため、すべてLEDに換えればお得になるのかと言えばそうでもなくて、特性に合わない場所に使用すると逆に不便になることも考えられます。
LED電球の欠点
では一般的に言われているLED電球にはどんな欠点があるのでしょうか?
- 従来の電球に比べて光束が狭く光の拡散が均一でないため、場所により明度が異なる。
- 蛍光灯や白熱電球に比べ自然な光を感じにくい。(演色性が低い)
- 白熱電球などと比べて重量が重い。
- 熱に弱いことから高温の場所では損傷したり事故が起きることもある。
省エネ・省コストの点ではLEDの優位性は高いものの、使用する環境によってはデメリットが浮き彫りになる可能性もあります。
具体的には光の拡散性が低いため自然光の感覚を感じにくくため、LEDの拡散性が少ない強い光に違和感を感じる人もいます。
このため、自然の光が好まれる場所では白熱電球や蛍光灯などに軍配が上がるかもしれません。
また高温の場所に弱いことから室温が高くなりすぎる場所での使用は避けた方がいいでしょう。
省エネ以外のLED電球の長所
では省エネ性能以外の点でLED電球を使用するメリットには、どんなものがあるのでしょうか?
- 長寿命であることから電球交換の回数が少ない。
- スイッチを付けてから明度が上がるまでが早い。
- 調光・点滅・発色が自在にできる。
- 高輝度・指向性に優れる。
- 紫外線を発しない。
- 高温には弱い反面、低温には強い耐久性を発揮する。
- 衝撃に強い。
- 電源スイッチの入切で寿命が縮む事がない。
以上が省エネ以外でのLEDの長所となります。
このように見ていくとメンテナンスの手間が省ける特性が多く見られます。
たとえば、長寿命であることから交換の手間が少なく済みます。
紫外線を発しないことから夏場は虫が寄りつくこともなく、美術品や工芸品などに長時間照射しても変色が起こりにくい特性があります。
また低温には強いことから冬場の寒さが厳しい地域では重宝します。
そして、高輝度と指向性に優れることから、電球交換が面倒な高度の高い場所には大きく重宝しますので、外灯などには重宝してよく使われています。
このようにLEDの長所を生かせる場所はたくさんありますので、LEDの特性を見極めた上で使用してください。
まとめ
今回はLED省エネムーブメント促進事業の開始日、概要、白熱電球をLED照明に換えることでのメリットとデメリットをお伝えしました。
LEDの光は今までの白熱電球や蛍光灯と違った特殊な発色をするため、それを苦手としている人も多いかもしれません。
しかし、LED照明の特性に注目していけば、実に広範囲に渡って活用できます。
使い心地を確かめる上でも是非今回の紹介した制度を上手くご活用ください。
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