今、省エネをはじめ、環境への
関心が大変高まっています。
社内の照明を「全てLED化にしたい」
という気持ちがあっても初期導入のコスト
など負担を考えるとなかなかスピーディー
に進められないのではないでしょうか。
蛍光灯からLED照明へ交換するだけで
完了するのであれば初年度の経費負担が
多少かかっても着手できるでしょう。
しかし、ほとんどの照明は、
大掛かりな工事を必要とします。
経理処理上大切な税務処理の対応指針が
明確にならないまま水銀を使用している
蛍光灯など照明器具の輸出入まで規制され
製造が中止されることになりました。
「交換コストの負担を考えると
なかなか進められない」と言って
いられない状況になってきているのです。
LED化することですぐに
資産計上をすることなく、
初期コストを抑える方法として
「リース契約」があります。
ここでは、LED照明の資産計上をはじめ、
「リース契約」を利用してLED化すること
のメリットについても触れていきます。
1:資産計上とは
「資産計上」という言葉を聞いたことがありますか。
経営活動に使用することで
収益を上げることを目的に
所有しているものを
「資産」と言います。
会社の財政状況を知る資料として
貸借対照表というものがあります。
決算時期になると新聞などで
見たことがあるのではないでしょうか。
この貸借対照表の左側に記載され
ることを「資産計上」といいます。
1-1:使用期間で資産計上の方法が変わる
資産計上されたモノの中からさらに、
1年未満で使用される資産と
1年以上使用さ続ける資産の
2に分けられます。
これまでの電球の使用期間は、
一般的に3000時間です。
これに対し蛍光灯の寿命は長く、
6000~12000時間と言われています。
これまでの照明器具の使用時間の場合、
会社の資産として使用できる期間が
短いと判断され、電球の使用が開始
された時点で消耗品として処理されます。
短期的な使用目的として所有し
まだ、未使用の電球に関しては、「貯蔵品」
として資産計上されることになります。
それでは、照明をLED化した場合は、
どうでしょう。
これまでの照明器具と違い
使用期間が40000時間と
言われています。
会社の資産として使用できる期間が
これまでの照明器具とは大きく
異なってきますよね。
そのため、同じ照明器具としての
使用ですが、長期的な使用目的と
判断されると考えられます。
LED電球が未使用の状態で所有
している時は、「貯蔵品」として
計上され、使用開始後「固定資産」
計上されるのではないでしょうか。
今、LED電球の値段が
下がってきています。
これまでの照明器具と同様の
価格まで下がる可能性があります。
そうなれば、
消耗品として処理をしても
会社の経営に大きな影響が
ないのではないでしょうか。
2:LED照明と交換する際の会計処理
会社全体の照明をLED化したときは
どのような処理になるのでしょうか。
LED化するといっても、電球を蛍光灯から
LED照明にそのまま変えられる場合と、
取り付け器具、スイッチ、配線まで
大掛かりな工事を要する場合があります。
このような工事が必要となった場合、
減価償却対象資産のとして所有している
LED電球に含めて計上されることになります。
3:LED照明の取り換え費用処理に関する国税庁の見解
LED照明の交換費用に関する取り扱いについては、
「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプ
に取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」
と題し国税庁のホームページに公開されています。
どのような内容になっているのか
見ていきましょう。
国税庁「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」
3-1:紹介要旨
当社では、節電対策として
自社の事務室の蛍光灯を
蛍光灯型LEDランプに
取り替えることを考えています。
その取替に係る
費用については、
修繕費として処理して
差し支えありませんか。
なお、当社は、これまで蛍光灯が
切れた際の取替費用を消耗品費として
処理しています。
3-2:回答要旨
要旨についての回答理由として、
大きく2つに分けて記載されています。
1)修繕費と資本的支出
2)本件へのあてはめ
「1)修繕費と資本的支出」の項目については、
別途、触れていきます。
今回は「2)本件へのあてはめ」
に着目していきます。
国税庁のホームページでは、
下記のように記載されています。
蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに
取り替えることで、節電効果や
使用可能期間などが向上しています。
その有する固定資産の価値を高め、
又はその耐久性を増しているとして
資本的支出に該当するのではないか
とも考えられます。
蛍光灯(又は蛍光灯型LEDランプ)は、
照明設備(建物附属設備)がその効用を
発揮するための一つの部品です。
また、その部品の性能が高まった
ことをもって、建物附属設備として
価値等が高まったとまではいえないと
考えられますので、修繕費として
処理することが相当です。
3-3:1つの考察
国税庁のホームページに記載されている事例は、
蛍光灯100本をLEDに変えることにより
1本1万円で100万円の費用負担となっています。
そして、これにかかる取り換え
工事のための費用は110万円です。
LED化するための工事は、
照明器具を変更するための工事で、
安定器を経由させることなく
照明を点灯させるものと判断したのです。
このような理由から、工事のために
支出した金額は、照明器具の価値が
高まったといえないとされました。
建物の付属設備として価値などが高まったと
評価されることが、工事費用を資産計上
するために必要な条件となっています。
4:リース契約によるLED化
会社でLED化を進めていくためには
多額の費用がかかります。
そこで、ひとつの手段として頭に浮かぶのが
「リース契約」ではないでしょうか。
LED化することの大きなメリットは、
電気料金が削減されることです。
この削減された電気料金の範囲内で
リース契約を結ぶことができれば、
現状の持ち出し金が無くなるのです。
4-1:リース契約の仕組みについて
リース契約とは、リース会社が、
LED照明に使用される商品を
メーカーやディーラーから購入し
賃貸する契約をいいます。
リース取引には、
- ファイナンスリース取引
- オペレーティングリース取引
の2種類があります。
ここでは、オペレーティングリース取引
に着目して見ていきましょう。
リース契約は
- ディーラー
- LED導入会社
- リース会社
の3社間で取引がされる
ことになります。
契約の流れは大きく、
下記の3ステップで行われます。
ステップ1:
「ディーラー」と「LED導入会社」の間で、
LED商品内容を決定します。
ステップ2:
「ディーラー」と「リース会社」の間では、
売買契約が交わされます。
これにより、リース会社は、ディーラーから
LED商品を購入し、代金を一括で支払います。
ステップ3:
リース会社とLED導入会社は、
リース契約を結びます。
契約後、LED導入会社は、
リース会社に定期的にリース料を
支払っていくことになります。
4-2:リース契約のメリット
リース契約のメリットは、2つあります。
具体的にどんなメリット、
デメリットあるのか見ていきましょう。
1)キャッシュアウトなし
設備投資をする上で、
リース契約を利用することは、
会社のキャッシュを残すことが
可能です。
1度に多額のキャッシュを
支出することは、会社の
経営成績を表す損益計算書に
大きな影響を与えます。
その損益計算書を見た第三者の
外部関係者から誤った判断を
されてしまいます。
そのような誤解を招くような
財務諸表を作成したくはないですよね。
そのために、1度に多額のキャッシュを
支出する必要がない「リース契約」は
メリットがあるといえます。
2)オフバランス効果が得られる
リース契約をすることで、
経費処理をすることができます。
LED照明を現金で購入すると
資産計上することが必要となりますよね。
それが、リース契約をすることで、
LED照明は費用処理が可能となります。
5:まとめ
社内の照明をLED化することは、
ただ電球を変えれば完了という
訳ではありません。
LED専用の照明器具への交換と
工事が必要となります。
そのため、多額の初期費用が
必要となってきます。
税務処理上まだ不明瞭な点があるため、
LED化をする際には、必ず顧問税理士などに
相談し、自社にあった導入を進めてください。
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