省エネ機器等の導入や省エネのためのエネルギーマネージメントを支援する制度は、年々増え続けていることで利用できる制度はたくさん存在しますが…
どんな機器に使える補助金制度なのか細かく書かれすぎて選びにくい上、どれを使えばいいのかイマイチはっきりわかりにくいと思います。
今回は、省エネのボイラー等の導入に使える代表的な補助金制度を、まとめて紹介していきます。
家庭・事業者向けエコリース促進事業
こちらは環境省が管轄している補助金事業である家庭・事業者向けエコリース促進事業になります。
家庭、業務、運輸部門を中心に地球温暖化対策を普及させていくことを目的としています。
こちらの補助金はリース契約方式のもので補助金対象となる低炭素機器のリース料にかかる一部を支援していくものとなっています。
補助金対象となる低炭素機器にはボイラも含まれており、コジェネ、燃料電池、ガス給湯器等の熱源設備も対象とされています。
対象地域も全国で利用可能で対象のリース先は資本金3億円以下の中小企業、従業員数が300名以下の医療法人、その他、家庭(個人)、個人事業主と幅広い層でご利用できます。
しかも、補助金申請に手間がかかりません。
補助金申請は環境省から指定を受けた指定リース事業者が行なうことになっています。
つまりリース先である家庭や事業者等が補助金手続きや申請をする必要がないということです。
リース契約の条件を満たしさえすれば、補助金申請の必要もなく、CO2削減等のモニタリング報告も必要もありません。
リース契約の要件さえ満たすことができれば補助対象になり、補助金を受け取れるということです。
このことから、補助金を受け取れる人の層も幅広い上、手続きの複雑さもなく時間もかからないため、非常に万能な補助金制度と言えます。
補助率
補助金が給付される額についてですが、これは機器により補助率が分けられています。
ボイラに関しては補助率が3%となっています。
ボイラ以外の熱源設備、新エネルギー利用設備、空調設備業務用冷凍冷蔵設備、照明設備は補助率が4%とやや高めになります。
そして、岩手県、宮城県、福島県、熊本県に限りすべてのリース契約の補助率は、10%に引き上げられます。
補助金(リース)対象となる機器
補助金の対象となる機器は、環境省が定めた基準を満たす省エネルギー機器である必要があります。
検索はこちらのページできます。
⇒対象商品の検索|一般社団法人 低炭素投資促進機構
そして、中古品ではなく新品でかつ日本に設置される機器に限ります。
リース契約の条件について
その他、リース契約の条件は、以下のものになります。
- 国や他の補助金等との重複申請でないこと
- 途中解約または解約が原則できない契約である
- リース契約は3年以上
- 補助金対象機器のリース料総額が、65万円以上2億円以下であること。
- 補助金申し込み前に結ばれた契約は対象外である
以上がエコリース促進事業のリース契約条件になります。
エネルギー使用合理化等事業者支援事業
こちらの制度は経済産業省による一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)が取り扱う補助金・助成金制度で法人または個人事業主等が対象になります。
省エネルギーの設備導入を支援する制度になります。
補助金制度の規模としては最大級の制度となります。
事業と内容としては『工場・事業場単位』の支援のものと『設備単位』の支援の2種類に分かれます。
低炭素機器の設備導入のみに関しては設備単位での省エネルギー設備導入支援となります。
設備導入の対象としては高効率ボイラ、高効率照明、高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉、冷凍冷蔵設備、変圧器、産業用モーターになります。
高効率ボイラは蒸気ボイラ、温水ボイラが対象となります。
補助金額
工場・事業場単位では補助率は設計費・設備費・工事費の総額の1/3以内で補助されます。
事業は『省エネルギー対策事業』『ピーク電力対策事業』『エネマネ事業』の3つの事業に分かれています。
1事業あたりの上限額は15億円、下限額は100万円となります。
複数事業者で実施する場合は、工場・事業場間一体省エネルギー事業の1事業あたりの上限額は30万円です。
設備単位の補助率は、補助対象費用は設備費用のみで設備費用に対して1/3以内で補助されます。
1事業あたりの上限額は3000万円下限額は50万円。
中小企業、個人事業主の場合は下限額が30万円になります。
補助金申請までの流れ
申請の具体的な流れは、以下のようになります。
申請書類の提出後、審査と補助金の交付が決定。
↓
発注・工事をしてから事業開始1ヶ月程度の省エネ実績データを提出する。
↓
補助金交付の決定。
↓
設備導入後の1年間の省エネ実績データの成果報告。
↓
引き続き、省エネ事業を継続
申請書類の提出だけでなく、補助金交付決定するまでに1ヶ月程度の実績データを提出するなど。
申請を通すためのステップはかなり複雑になっています。
申請期間1ヶ月という短い期間でかなりの量の申請書類が必要となるため、事前準備をしておくことが推奨されます。
しかも、省エネ実績データが基準を満たせていなかった場合は申請が通らないことがあることからも、基準も厳しいことが伺えます。
申請書類には大きな労力がかかることから、申請するための手続き代行サービスを利用する方も多いようです。
以下が一般財団法人環境共創イニシアチブ(SII)公募情報になります。
⇒平成29年度 エネルギー使用合理化等事業者支援事業|一般財団法人環境共創イニシアチブ
⇒エネルギー使用合理化等事業者支援事業 公募要領|一般財団法人環境共創イニシアチブ
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
こちらの補助金制度は業務・産業の両部門におけるCO2の排出量を大幅に削減することを目的に、環境大臣が指定する低炭素設備の導入支援をするものです。
補助対象者は中小事業者、事業者、民間団体等になります。補助対象設備にはボイラも含まれます。
補助対象となる経費
補助対象となる経費は、以下のものとなります。
- 人件費
- 設備費
- 工事費
- 消耗品費
- 旅費
- 委託費
- 事務費
設備費、工事費だけでなく、それに関与した費用も補助対象として含まれているのが特徴的です。
優先対象事業の要件
補助金交付の優先対象事業は国内の事業場・工場でL2-Tech認証製品等の導入を行うものになります。
L2-TechとはLeading Low-carbon Technologyの省略で、『先導的低炭素技術』のことを指します。
これは審査・認証検討委員会の審査結果に基づき、環境省によって認証されます。
L2-Tech認証製品の詳細についての環境省の報道発表資料です。
⇒「2016年度夏版L2-Tech認証製品一覧」の公表について|環境省
優先対象事業になるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 事業場・工場における基準年度排出量が0t-CO2 以上であること。
- 補助事業実施後の事業場・工場の二酸化炭素排出量が、基準年度比で 削減される事業内容であること。
- 「環境大臣指定設備・機器等一覧」に掲げる設備・機器等に属する製品を少なくとも1つ以上導入すること
- L2-Tech 認証製品の材料費が補助事業で導入する機器の材料費全体に対して50%以上であること
- 運用改善等による排出削減目標量が排出削減目標量全体に対して10%以上であること
- 平成28年度に二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(先進対策の効率的実施による二酸化炭素排出量大幅削減設備補助事業)により機器等を導入した事業場・工場でないこと。
- L2-Tech 認証製品を導入したことによるCO2削減効果及びランニングコストの削減効果が定量的に把握可能であること
詳しくはこちらのPDF資料をご確認ください。
⇒平成29年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金|ASSETウェブサイト(環境省)
補助金額
補助金額は優先対象事業と認証されたものとそれ以外のものとで変わってきます。
優先対象のL2-Tech認証製品導入の場合、必要な経費の1/2以内。
優先対象以外のL2-Tech認証製品導入の場合、必要な経費の1/3以内。
その他機器導入に必要な経費の1/3以内となります。
詳細情報のURLは以下になります。
⇒先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業設備補助事業|ASSETウェブサイト(環境省)
地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金
こちらの制度は地域の工場、オフィス、店舗等に省エネに役立つ設備の導入を支援するものとなります。
経済産業省の補助金制度になりますのでエネルギー使用合理化支援事業と支援の傾向が似ている部分もありますが…
エネルギー使用合理化支援事業より小規模向けの制度となっているため、より申請しやすく、地域できめ細かく省エネの相談に対応できる体制が整っています。
支援事業はA類型とB類型の2種類があります。
A類型は最新モデルの省エネ機器等の導入支援する事業。
B類型は地域の工場・オフィス・店舗等の省エネや電力ピーク対策などエネルギーマネージメントに役立つ設備の改修と更新の支援をする事業となります。
イメージとしては省エネを目的とした高効率ボイラを導入する場合はA類型、
ボイラを含む既存設備の改修と更新に関してはB類型になります。
補助対象になる機器・設備はボイラ・ヒートポンプ等の熱源設備、照明設備、空調設備、冷凍・冷蔵設備、圧縮機・送風機、工業炉などになります。
詳しくは下記の補助対象カテゴリー表と補助対象機器等の用語解説集をご覧ください。
⇒補助金対象カテゴリー表|一般社団法人環境共創イニシアチブ
⇒補助金対象機器等の用語解説集|一般社団法人環境共創イニシアチブ
A類型の補助金額
A類型の補助率は導入費用の1/3以内、中小企業やエネルギー多消費企業であれば1/2以内となっています。
また、対象経費下限は1/3以内の場合は150万円1/2以内の場合は100万円となっています。
補助金額上限は1事業当たり1.5億円下限は50万円となっています。
4-2:B類型の補助金額
B類型の場合は事業者の種類と事業者区分によって補助率がことなります。
中小企業・エネルギー多消費企業の場合は通常事業で1/2以内、
エネマネ事業者との連携事業では2/3以内の補助率となります。
その他の事業者の場合は通常事業で1/3以内、エネマネ事業者との連携事業では1/2以内の補助率となります。
1事業当たりの補助金の上限と下限は以下のように定められています。
上限:50億円
下限:100万円
また、補助金1/3の場合は補助対象経費が300万円以上、1/2の場合は200万円以上、2/3の場合は150万円以上から支援の対象になります。
詳しくは地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金事業内容詳細より↓
地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金|経済産業省
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
こちらは経済産業省による補助金制度で、工場・事業所、住宅、ビルにおけるエネルギー消費効率改善を促し、徹底した省エネを促進することが目的です。
支援は4つの事業に分かれています。
『省エネルギー設備への入替支援』
『ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の導入支援』
『ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の実証支援』
『住宅の断熱改修による省エネ化の支援』
省エネ機器等の設備導入の関連は、省エネルギー設備の入替支援になります。
補助金の対象は既設への省エネ導入であり、新設への設備導入は対象外になります。
補助対象設備について
補助対象設備は以下のものになります。
- 高性能ボイラ
- 高効率照明
- 高効率空調
- 産業ヒートポンプ
- 業務用給湯器
- 低炭素工業炉
- 変圧器
- 冷凍冷蔵庫
- FEMS
- 省エネに寄与する設備システム
- EMS設備システム
補助金額
補助金額はエネルギー使用合理化の場合、設備費と工事費でかかった金額の1/3が支援されます。
エネマネ事業の場合は1/2になります。
上限は1.5億円
下限は50万円です。
詳しくは経済産業省のホームページよりご覧いただけます。
⇒省エネルギー投資促進に向けた支援補助金|資源エネルギー庁
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金のPDF概要↓
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金|経済産業省
まとめ
今回は省エネ目的でボイラの導入を支援する補助金制度に焦点を当ててみました。
基本的にはボイラ以外の省エネ機器の導入にも使えるものばかりです。
省エネ機器を導入することで高熱費が大幅に削減することが可能になりますので、この機会に導入の検討をしてみてはいかがでしょうか?
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