2017年7月10日より、東京都ではご家庭で使用されている白熱電球をLED電球に交換する制度が実施されています。
LED照明は省エネ性能が高いことで期待を集めています。
例えば60ワットの白熱電球100万個をLED電球に換えることで、
年間約23.4億円の電気料金の削減や約4.4万トンのCO2削減効果が期待できると言われています。
長期的な視点で見れば、家庭内での大きな電気料金の削減に繋がってきます。
しかし、LED照明導入にかかる費用等で中々購入に踏み切れない家庭も数多く存在しています。
その状況を変えるために支援されている制度が今回紹介する『家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業』になります。
1:家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業とは?
LED照明を使用することで電気代、CO2の削減など環境面で大幅な効果が期待できますが…
設備導入にかかる手間や費用等が導入の進みにくい原因にもなっていると思われます。
そのため、家庭で使用中の白熱電球とLED電球の交換制度を施行することで、都内の家庭での省エネのきっかけを作ることが、本事業の目的となっています。
東京都では、LED省エネムーブメント促進事業を平成29年7月10日より実施しており、電球の配布数は100万個を目標としています。
1-1:LED電球交付対象者の条件
交付対象者は東京都内に住所を有する18歳以上の都民の方となります。
そして、本事業開始以後、初めての電球交換が条件となります。(電球の交換は1人につき1回まで)
1-2:交換対象となる白熱電球の条件
LED電球と交換する白熱電球の条件は以下のものとなります。
- 現在家庭で使用中のもの(未使用のものや破損しているものは対象外となります。)
- 36W以上の消費電力があるもの
- 口金サイズがE26(直径26cm)であるもの (持参する白熱電球2個のうち、 1つ以上該当すれば交換可能になります。
※口金サイズとは、電球をはめ込む部分の直径サイズとなります。
1-3:家電店で提供されるLED電球の規格
お店で提供されるLED電球にも規格が決まっています。
・口金サイズがE26(直径26cm)のもの
・形状はA型の電球のみ(ボール型やシャンデリア型など他の型は提供対象外ですのでご注意ください。)
・電球40W相当もしくは60W相当
・断熱材施工器具対応または密閉形器具対応のもの(調光器対応のランプは対象外です)
なお、交換する白熱電球を持参したときに、使用用途に応じたLED電球を家電店が選ぶ流れとなっています。
交換したLED電球は返品・取替はできません。
1-4:LED電球の交換店舗
LED電球の交換が行える場所は都内のLED省エネムーブメント参加協力店に限ります。
1-5:電球交換に必要なもの
LED電球の交付の際には、本人確認書類が必要となります。
それが以下のいずれかのものとなります。
- 健康保険証
- 運転免許証
- 運転経歴証明書(交付が平成24年4月1日以降のもの)
- マイナンバーカード
- 年金手帳
- パスポート
- 住民基本台帳(顔写真付き)
- 身体障害者手帳など官公庁が発行した各福祉手帳
- 官公庁が発行した各種免許証または身分証明書
1-6:LED電球交換までの手順
住まいのお近くにある参加協力店に交換対象となる白熱電球2個以上と本人確認書類を持参します。
店舗で受領証の記入と本人確認後、持参した白熱電球とLED電球の交換が行われます。
なお、持参した白熱電球は不正防止のため、店舗にてハンマーで叩いて使用不能にします。
店舗で受け取ったLED電球の箱には都の事業で交換したLED電球であることを明示するため、『転売防止』のシールが添付されます。
※シールは一度貼り付けると剥がしても文字が残る仕様となっています
記入した受領書を提出した代わりに納品書を受け取ります。
以上がLED電球交換までの手順となります。
2:LEDと白熱電球の比較
LEDが省エネであることはわかるけど、白熱電球をLED電球に交換することでどんなメリットやデメリットがあるのか?実際どのくらいお得なのか?いまいち不明な点も多いかと思います。
そこで、白熱電球とLED電球をあらゆる面から比較してみました。
2-1:消費電力の比較
LED電球の消費電力は白熱電球の消費電力と比較して、約1/5(20%)程度と言われています。
国や地方自治体が普及を促すのも、この圧倒的な省エネルギー性能が照明されているためでもあります。
2-2:電球の消費寿命と交換回数の比較
一般的に白熱電球の寿命は1,000~2,000時間程度と言われています。
一方、LED電球の寿命は4万時間と言われています。
1日10時間使用したと想定して計算します。
白熱電球の場合だと100~200日(3~6ヵ月)ほどとなります。
一方、LED電球の場合は4,000日(10年から11年)もつという計算になります。
もし、白熱電球とLEDを同じく10年間使用したとすると電球を交換する回数も大幅に変わってきます。
白熱電球の交換回数は20~40回、LED電球は交換なしで10年間使えます。
では電球交換にかかるコストを単純計算で見比べてみましょう。
白熱電球は約300円
LED電球は約2000円
白熱電球:6000円~12000円
LED電球:2000(円)×1(回)=2000(円)
10年間の最大の差額を見ると、10,000円の差が生まれます。
また、これは現状でこの価格ですのでLED電球の普及が進むごとに現在より価格低下が予測されます。
電球交換にかかるコストは、圧倒的にLED電球に軍配が上がります。
2-3:電気代での比較
次に電気代の比較をしてみます。
どちらも60W型相当のもので比較計算してみます。
白熱電球の消費電力を60WLED電球の消費電力は製品によりバラつきがありますが7Wとして比較計算してみます。
1日10時間使用すると想定し、1kWhあたり27円で、1年間365日で3650時間使用したとします。
■白熱電球:
60(W)÷1000(k)×3650(時間)×27(円)
=5913(円)
■LED電球:
7(W)÷1000(k)×3650(時間)×27(円)
=689.85(円)
1日10時間を1年間使用した場合だと、その差が5,223.15円で年間5,000円以上の差が生まれてきます。
10年間ですと50,000円以上の節約になります。
更に先ほど計算した電球交換にかかる費用の差の10,000円を加えると、60,000円以上の差が生まれます。
2-4:その他のLED電球のメリット・デメリットについて
ここまでは省エネや電気代の観点から白熱電球からLED電球に変えることでのメリットをお伝えしてきましたが…
電気料金以外に関してはメリットとデメリットはないのか?
これについてまとめてみます。
2-4-1:LED電球のメリット
以下がLED電球を使用するメリットとなります。
- 従来の電球に比べ圧倒的に長寿命であること。
- 長寿命であることから交換の手間が少なくなる。
- 消費電力が少ないことにより電気代が節約できる。
- 電気を付けてから明るくなるのが早い。
- 紫外線を発しないため虫が寄りつかない。
- 衝撃に強い。
- 電源スイッチの入切で寿命が縮む事がない。
2-4-2:LED電球のデメリット
こちらがLED電球のデメリットとなります。
- 購入コストが高い。
- 従来の電球に比べて光を均一に放射できないため、場所により明度が異なる
- 熱に弱いことから熱のこもる場所では損傷することがある。
以上がデメリットとなります。
電気代や電球の消費量の点では大きなメリットがあります。
しかし、用途により向いていなかったり光の放射角度などで違和感を感じる場合もあります。
LED電球をどこに使用するのか?
環境面や特性なども考慮して検討する必要がありそうですね。
3:まとめ
今回はLED省エネムーブメント促進事業とおよび白熱電球からLED電球に変えることで、発生するメリット・デメリットについてお伝えしました。
単品で購入した場合、現時点では白熱電球の方がLED電球よりもはるかに安く購入できてしまうため、どうしても二の脚を踏んでしまうかと思います。
しかし、それが1年、5年、10年と長い年月使用していけばいくほど、電気料金や電球交換の費用が積み重なって大きな差が生まれていきます。
今回の紹介した制度はLED電球を購入することなくお得になるのかをお試しするチャンスでもあります。
是非、この機会を上手く利用してLEDの導入を検討してみてください。
コメント