社長が常に考えている「いかにして利益を出すか」という大命題ですが、その一つにコスト削減という方法があります。
コスト削減は、売り上げを伸ばすことと同等の意味があります。
工場の場合、コスト削減というと小さなものから大きなものまでたくさんの方法があります。
その中でも、効果がある10の方法をご紹介します。
工場におけるコスト削減のポイント
コスト削減を考える前に、売り上げを出すためのコスト(費用)について簡単に確認します。
コストは、「固定費」と「変動費」に分けられます。
「固定費」は、売上高(生産高)に関わらず、一定額かかる費用のことをいいます。
- 人件費
- 水道光熱費
- 通信費
- 接待交際費
- 不動産賃借料
などが挙げられます。
「変動費」は、事業活動に必要な原材料などの原価に相当するもので、売上高(生産高)の増減によって変わる費用です。
- 商品仕入れ費
- 材料費
- 配送費
- 外注費
- 支払い運賃
などが挙げられます。
工場でのコスト削減においては、原材料費を抑えることも大切かもしれませんが、一般的に「固定費」をいかに抑えるかが、ポイントと言われています。
同じ売上げでも、「固定費」を抑えることが出来れば、その分、利益を増やすことにも繋がるからです。
以下、8つの具体的な手法をご紹介します。
照明器具と照明方法の見直しでコスト削減
工場において、現場での照明器具には、相当の費用がかかります。
照明器具と照明方法の見直しで代表的な3つの方法をご紹介します。
インバーター照明へ切替える
蛍光灯の点灯方式は、
- スタータ形
- ラピッドスタート形
- インバーター形
の、3つですが、インバーター形を採用することで、電気代の節約につながります。
約8%程度の電気代が節約できるといわれているので、効果は大です。
導入の費用もかかりますが、リース契約での導入も可能のようです。
LED照明の採用
照明を水銀灯からLEDに変えると電気代を約80%節約できます。
また、熱をほとんど持たないことから、空調コストの削減効果も期待ができます。
自治体によっては、補助金制度もあるようですので、上手に活用するといいでしょう。
照明の間引き点灯
一般的に、家庭と比べると、工場などの作業現場は明るすぎと言われるようです。
ですので、照明を間引くことで経費をかけずにコスト削減ができます。
LED照明を同時に行うことで、その効果はよりアップします。
空調設備の性能回復でコスト削減
一般の家庭のエアコンでも、古い昔のエアコンは電気代がかかる、と言われるように、空調設備も劣化すればするほど消費電力が増加します。
特に、消費電力の8割を占めるといわれる圧縮機・コンプレッサーの金属摩耗を修復することで電力の削減が可能になります。
この空調性能回復システムを使うことで、電気代を10%~20%コスト削減できます。
ガス料金の見直しでコスト削減
「電力の自由化」はよく耳にするワードですが、実は2017年4月より「都市ガス自由化」が始まりました。
これまで独占供給をしてきた事業所の他に、新規参入する事業所が出てきました。
料金については、今よりも割安なプランが登場してきますので、今後に期待が持てますね。
水道の見直しでコスト削減
公共料金のコスト削減の中で水道料金についても、コスト削減が可能です。主な3つの方法をご紹介します。
自家水道システム
自家水道システムとは、その名のとおり事業所が使う水を、自らで確保する方法です。
一般的には、井戸を掘って地下水を汲み上げ、水処理装置で浄化して利用します。
こういった光熱費のコスト削減には、ESCO事業という、省エネルギーに関する包括的なサービスを提供する業者がいます。
基本的には、事業所への負担が発生しないように、導入できますので大幅な削減が期待できます。
節水弁の取り付け
この節水弁というのは、節水コマとも呼ばれますが、水道の蛇口内部に取り付ける、樹脂製の節水用のコマのことです。
極めて簡単な節水方法ですが、その効果は高く30%削減した例もあります。
排水や下水道料金の見直しでコスト削減
下水道料金についてもいくつかの削減方法があります。2つの見直し方法をご紹介します。
排水再利用システムの導入
工場排水の有効利用により、コスト削減も可能になります。
こちらは、初期費用が多くかかるので、規模の小さい事業所には不向きかもしれません。
下水道料金削減システムの導入
下水道料金を削減する方法として、消失水と呼ばれる、下水道に流れていかない水の料を測定し、その消失水を下水道料金から差し引くという方法があります。
実は、消失水は30%近くあるそうです。シュミレーションを行って、導入可能かどうかを診断していきます。
電力を自家発電・自家消費してコスト削減
最近では、太陽光発電などの自家発電設備を屋根に設置する事業所も増えてきました。
これで、年間の電気料金を約15%削減できます。
自己消費することで、電気代削減も可能ですし、屋根に設備を設置することで、温度上昇を抑制し、空調負担も軽減できます。
仕事量の見直しでコスト削減
通常行っている仕事の内容は、よくよく考えてみると、無駄な仕事、作業はたくさんあります。
また、古い慣例を見直すことで、無駄な仕事を無くし、仕事量を削減できます。
IT技術が進んだ今では、これを上手に活用することで様々な仕事を減らすことが可能になります。
今一度、現在の仕事内容が適正かどうか従業員の意見も聞きながら確認してみることをオススメします。
人件費の削減でコスト削減
人件費は、「固定費」の中でも大きなウエイトを占めます。また、一番即効性があるコスト削減方法であります。
しかし、人件費削減は、従業員のモチベーションに響くコスト削減の方法ですので、注意が必要です。
人件費削減でコスト削減はできても、従業員の生産性が低下しては本末転倒です。
主な4つの人件費削減の方法をご紹介します。
ロボットの活用
今まで人間がしていた作業を機械(ロボット)に任せるというものです。
ロボットを活用することで、人件費を抑えるだけでなく、生産性のアップが期待できる場合もあります。
9-2.外国人の活用
日本の大企業が海外へ工場を持つ理由として、人件費の削減が挙げられます。
国内においても、「国際貢献と海外の国々の技術力アップをサポートする」という目的で、外国人研修制度というものを設けています。
事業所がこれをうまく利用すれば、人件費の削減も可能になります。
人材派遣の効果的活用
いわゆる派遣社員と呼ばれる人材の採用方法です。
正社員ではありませんので、必要な時だけ人材を提供してもらえますから、一時的な雇用で人件費の削減にもつながります。
しかし、正規雇用を重視する昨今ですので、むやみに雇用数を増やすことは会社のイメージダウンにも繋がりますので注意が必要です。
国の雇用調整助成金の利用
こちらは国の制度ですが、「雇用調整助成金」を利用し、会社の人件費の負担を少なくすることができます。
景気の変動や、産業構造の変化で、事業活動の縮小を迫られ、一時的に雇用調整を余儀なくされた際に、助成金が支給されます。
条件として、「従業員の雇用を維持すること」がありますが、人件費負担額の半額が支給されるので大幅な人件費削減につながります。
10.まとめ
「固定費」の中でも、電気料金や水道料金などの公共料金を省エネルギー化することでコスト削減できる方法が多くあることに気づいたかもしれません。
コスト削減は、企業にとっての永遠の課題であり、経営者の判断だけで行えるものについては慎重にしなければいけません。
また、社員の協力が必要なコスト削減の方法もあるので、その際は社員全員で取り組むことがとても大切です。
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