電力の自由化により電力会社を自由に自分で選べるようになりました。しかし多くの企業の参入によりどれを選んでいいかわからない法人も多いと思います。今回は料金プランや特徴など様々な観点から新電力のおすすめの選び方を紹介していきます。
1. どの観点で新電力を選ぶか?
最近では全国各地の県庁や警察署、国立がんセンターなどの医療機関、最高裁判所、海上保安本部などが大手の電力会社から新電力に切り替えています。
新電力各社とも電気の供給の安定性という点では大きな心配が少ないといえますが、会社によっては料金プランや電話対応、アフターフォローなどのカスタマーサービスで差があります。
上手く切り替えられれば、大幅なコスト削減につながりますし、環境にも優しい新電力もあることから大きなメリットにつながるケースがあります。
また設備投資や契約に伴う諸経費は不要で、メーターの取り替えも一般電気事業者が対応してくれるので基本的に書類だけで切り替えが可能です。
以下に新電力を選択する上での参考情報を説明していきます。
1-1. 地域新電力で選ぶ
地域新電力とは電気の地産地消(地元で作った電気を地元で使うこと)で地元にある比較的小規模発電所で作った電気を供給源として使用することをいいます。
将来的には、地域で作った電気を地元以外の地域へ送電することも考えられますが、これも地域新電力に含まれます。
①地域新電力のメリット
1つ目のメリットは環境にやさしいエコ電力という点です。多くの地域新電力は再生可能エネルギー発電所で発電をしています。
地域によって特色があり、日照時間が長い地域は太陽光発電、風が強い地域は風力発電、森林地帯はバイオマス発電といったように地元の特徴を生かした発電方法で電気を作っています。
中には複数の発電方法を組み合わせて、環境負荷の低い電気を作っている地域もあります。
2つ目のメリットは地域振興です。
例を挙げるとバイオマス発電などは、間伐材などを燃料としているので、最近衰退している林業の地域再興が期待できます。林業が再興すれば雇用回復や荒れた山の回復も期待できます。
②地域新電力のデメリット
最大のデメリットは料金体系が高いという点です。原油や天然ガスの値段が世界的に安いという理由もあり、現在では大規模発電所で発電したほうが安い状況です。
値段だけで選ぶなら地域新電力はオススメできませんが、エコ発電が良い方や地域復興などの目的がある場合は選択肢の一つにしてもよいでしょう。
最近では大規模な発電所施設を作り電力供給している地域新電力もあるので、以下の表を参考にしていただければと思います。
1-2. セット割で選ぶ
もう一つの選択の仕方は、現在既に法人で加入しているサービスとセットで契約するという方法です。割引も適用されますし、請求書も一つになって分かりやすいです。
おすすめは①都市ガス、プロパンガス②携帯電話、スマホ③ガソリンスタンドです。それぞれ見ていきます。
①都市ガス、プロパンガス
ガスとのセット割引は、電気とガスを一緒に契約することで電気単独契約よりもお得になります。ガスと電気のセットは非常に相性が良いと言われています。
理由としてはほとんどのガス会社が電気とのセット割を提供しているので、現在契約しているガス会社でセット契約できる新電力を探せば見つけやすいでしょう。
2017年からは都市ガス自由化により電力会社のガスへの参入という逆パターンも選べるようになったので、より選択肢が広がっていくと見られています。
②携帯電話、スマホ
もし会社などの法人で携帯電話を契約している場合は、電力と携帯電話やスマホとセット契約にすることで、さらにお得にすることができます。
携帯電話業界では、各メーカーとも顧客の繫ぎ止めに必死なことからセット割が注目されています。おおよそ毎月電話代が一人当り数百円程度割引になるようです。
デメリットとしては、契約が複雑になってしまうケースがあることですが、もし携帯を解約する予定がある方はあらかじめ良く問い合わせておくと良いでしょう。
代表的なのがソフトバンクでんきで、インターネット、スマホ、電話の三つがソフトバンクであれば、電気も統一すればかなり支払いも便利で、ポイントも貯まりお得と言う口コミもあります。
またauもauでんきを提供しており、電気使用量が多ければ多いほどキャッシュバック率が高くなるので電気代が高い法人にはよいでしょう。
③ガソリンスタンド
ENEOSや昭和シェルが電気とセットで割引を提供していますが、いずれも東電管内でのサービスです。
ENEOSはガソリン、軽油、灯油が1円引き/L (月150Lまで)
昭和シェルはガソリンが10円引き/L 軽油が5円引き/L (いずれも月100Lまで)
となっています。
提供エリアは徐々に全国に広がっていく予定です。ENEOSはガソリンの割引きが少ないですが、電気料金は関東最安値、昭和シェルは電気代よりガソリン代の割引が大きいです。
1-3. その他考慮すべき観点
供給エリアと料金プラン
その他の選択する際に考慮する観点としては、供給エリアと料金プランがあります。大都市以外の法人は供給エリアは考慮した方がよいです。また多くの新電力が参入している中でどの料金プランが一番適しているのか?もよく情報を集めて吟味すると良いでしょう。
せっかく魅力的な新電力が見つかったとしても、お住いのエリアに供給されていないとなれば、切り替えができません。おおよそ、大手電力会社の管区で分かれていますが、これも一部異なる場合もあります。
料金プランは、各法人の人数や施設の規模、活動時間帯に合わせて選ぶのが良いでしょう。具体的には昼に多く使うのか、朝と夜に多く使用するのかも大事なポイントになります。
現在では様々な見積もりサイトでの見積もりや直接お問い合わせが可能です。
2. 新電力への切り替えの際の注意点
既存電力会社から新電力への切り替えは一見電気代が安くなると、あまり知識がないまま切り替えをするとデメリットを被ることもあります。
最大のデメリットは電力供給不足と電気料金が高くなってしまうことでしょう。
新電力の電力供給不足は大手のように大規模な発電設備にコストをかけられないことや、安全点検などの点で大手より劣っている可能性もあります。
すべての事業者に需要と供給のバランスを保つことは義務付けられていますが、電力供給先を大手から仕入れている場合以外の自社発電だとよく確認する必要があるでしょう。
電気料金も新電力によっては、多少上がることもあるかもしれません。電気の小売業者は電気を仕入れたとしても送電の際の電線の使用量を大手の電気会社に支払う必要があるので価格がその分上げるケースもあります。
各新電力の業績次第では値段が変わることも考えられますので注意が必要でしょう。
また法人向けでも工場や商業施設などの特別高圧やカフェや居酒屋などの小規模施設向けなどでは当然料金が変わってきます。新電力によって得意分野がありますので情報収集が必要です。
3. まとめ
新電力選びは地域新電力やセット料金、法人の活動形態やエコ、電気料金の安さなど何を重視するかで選び方が変わってくると言えます。
また新電力を選ぶ際には供給面や料金面をよく確認する必要があると言えるでしょう。大手に送電線使用料を支払っている新電力もあることからむしろ電気代があがってしまうケースもあります。
安全設備などの面も良く確認しておくと安心です。
電気料金の単価は定期的に見直されることから新電力各社の情報収集をしておくことがよいでしょう。
コメント