戦後、長く独占体制であった電力業界の改革によって誕生した、新電力(電力小売の自由化に伴い電力業界に参入した企業)。この改革により消費者は「電気の購入先を選べる」という選択肢を手に入れました。
しかし新しい仕組みである新電力は、電気を自由に選ぶという行動に慣れていない消費者にとっては、混乱することも多いものです。
新電力の仕組みに関するよくある質問をまとめましたので、新電力を選ぶ時の参考にしてください。
1. 新電力でよくある質問
1-1. 新電力にすると必ず電気料金は安くなる?
新電力への切り替えで多くの人が「今より電気料金が安くなる」と思っていますが、必ずしも電気料金が下がるわけではありません。
電力使用量は消費者によって大きな違いがあります。また元々単価の低いお得なプランで契約している消費者もいますので、このような場合には電気料金が安くならないことがあります。
インターネット上のサービスで、新電力へ切り替え後の電気料金をシミュレーションしてくれるサービスがありますから、現在の電気の使い方と電気料金でシミュレーションしてみることをおすすめします。
1-2. どうやって新電力に切り替えるのか?
新電力へ切り替えたい場合は、契約したい新電力会社に申し込みをします。現在は、ほとんどの消費者が従来の地域電力会社と契約していると思いますが、そちらへの連絡は不要です。
申し込みは新規に契約する会社の窓口、電話、ホームページなどから行います。申し込み後スマートメーターが既に設置されている場合は、数日ほどで切り替えが終了します。
スマートメーターが設置されていない場合は、従来の電力会社がスマートメーターの設置を行います。設置にかかる費用は原則無料ですし、工事の手配も必要ありません。スマートメーターが未設置の場合は、切り替えまで1~2週間ほどかかります。
1-3. 新電力に切り替えるにはお金がかかる?
新電力への切り替えは、原則的に費用は発生しません。スマートメーターの設置も含め、新電力が切り替えの手続きを全て行います。
注意が必要なのは、新電力から新電力への切り替えの場合です。なんらかの事情で先に契約していた新電力から違う新電力へ切り替える場合には、先に契約していた新電力を解約する必要があります。
またその場合、先に契約していた新電力に契約期間などがあれば。違約金が発生する場合もありますから契約書などを確認する必要があります。
1-4. 新電力に切り替えたことで停電は増えないのか?
新電力への切り替えで最も多い質問が、新電力へ切り替えたことで電気が不安定になったり、停電が増えたりしないのか?という質問です。
新電力へ切り替えたとしても、電気が届く仕組みは今までと変わりません。電気の経路は今までと同じですから、新たに電線を引く必要はありませんし専用機器を用意する必要もありません。
電気は従来と同じように、地域の電力会社が管理している送電線網ネットワークを通じて消費者に届けられます。送電線網の中では電気は等しく扱われ、送電線事業者によって安定供給が保たれています。
新電力に切り替えても電気が不安定になることはありませんし、停電が増えたりすることもありません。
1-5. 新電力はどこから電源を調達するのか?
新電力の電源調達方法はその会社によって様々です。自社で発電所を所有している新電力もありますし、地域電力会社が持っている大型発電所より購入する場合もあります。
また常時バックアップと呼ばれる、電気の卸売りを行っている卸電気事業者からの仕入れや他に自社発電をしている工場などから余剰電力を購入する場合もあります。
1-6. 新電力に切り替えない場合はどうなる?
電力の完全自由化後も新電力に切り替えない場合には、従来の地域電力会社が引き続き電気供給と自由化以前の料金プランやサービスを引き継ぐことになっています。
これは新しい仕組みには混乱が伴うため、消費者保護のための「経過措置期間」として国によって決められています。
一つ注意すべき点は、今後「経過措置期間」が終了した場合には、全ての消費者がどこかの電力会社を選ぶ必要がでてくることです。
その場合、引き続き地域の電力会社を選ぶこともできますが、今までの料金プランやサービスは引き継がれない可能性があることもあります。
今は新電力への切り替えを行わない場合でも。各新電力のプランやサービスをチェックし、情報は常に見ておくようにすることをおすすめします。
1-7. 契約した新電力が倒産した場合はどうなるのか?
契約していた新電力が倒産しても、電気が止まるなどの心配はありません。そのような場合には地域の電力会社が、新たな供給先が見つかるまでの間の電力を供給することになっているからです。
しかし新たに電力会社と契約を結ぶ必要があり、それまでの電気料金やサービスは利用できないことになります。
1-8. 新電力として事業登録を行っているのかを知る方法は?
新電力に参入するには、資源エネルギー庁へ小売電気事業者の登録申請を行い、許可を受ける必要があります。
登録小売電気事業者については、資源エネルギー庁のサイトから確認ができますので、申請を出して許可を受けた企業であるかどうかは、下記のサイトから確認することが可能です。
※登録小売電気事業者一覧
引用元:資源エネルギー庁
ただし電気の販売は、小売電気事業者と代理店契約を結んでいる会社でも可能です。一般的に代理店と呼ばれている企業にも「取次」「代理」「媒介」などがあります。
取次は、小売電気事業者の電気料金メニューとは別に自社のメニューを作ることができます。消費者と電気の小売供給契約を結ぶのは取次会社となります。
代理も自社のメニューはありますが、消費者と小売供給契約を結ぶのは、小売電気事業者です。媒介の場合は、自社のメニューはなく小売電気事業者と消費者との間を取り持つだけです。
契約を考えている企業が小売電気事業者なのか、違う場合はどの小売電気事業者の電気を購入することになるのは、確認しておくようにしましょう。
2. まとめ
新電力を含む電力供給の新しい仕組みは、熱エネルギー業界に変革をもたらすものです。新しい仕組みの中では、知らないことやわからないことも多く、混乱が起きる場合もあります。
新電力の仕組みについては、資源エネルギー庁のサイトにも記載されています。電力自由化についてのお問い合わせ窓口も載っていますので、気なる点は確認してみてもいいでしょう。
賢く新電力を選んでいくためにも、疑問点などは随時確認して解決しておくことが大切ですね。
コメント