オール電化は新電力乗り換えで得か損か徹底検証!


新電力

現在ご利用の電力会社を変えることで、料金は安くなるのでしょうか?

2016年の4月から開始された「電力自由化」により、小規模な工場、店舗、事務所、ご家庭など全ての電力を必要とする所に、新規に参入する電力会社でも、電気を小売りできるようになりました。自由化により、新規に参入する電力会社のことを「新電力」といいます。

2016年4月以前は、日本に10社ある、北海道電力から沖縄電力までの一般電気事業者が、各地域毎への電力の供給を独占していました。

新電力は、一般電気事業者が管理する送電線を通じて、電力の小売りを行うため、停電などのトラブル頻度や電気の品質は、一般電気事業者と同じになります。

新電力と一般電気事業者の電気供給の品質が同じなのであれば、あとは「価格」と「環境への考慮」、「カスタマーサポート」などの違いになります。

この中で、一番大きな検討材料となるのは、やはり「価格」です。

この記事では、現在オール電化に対応している「需要家」(電気の供給を必要としている所)が新電力に乗り換えることで、価格が安くなるのか見ていきます。

1.オール電化のメリットとデメリット

オール電化とは、家庭で使う全てのエネルギーを電気に統一することです。従来のガス給湯器やガスコンロなども全て電気に一元化することです。オール電化にすることのメリットとデメリットを以下に説明していきます。

1-1. メリット:安全

IHクッキングヒーターの場合、ガスコンロと違い、炎が衣類など他のものに着火して火事になることを防げます。ただし、鍋等が異常に高熱に加熱されて発火する可能性もありますが、長時間加熱や焦げ付き防止機能などがついているため、こういった可能性は低くなります。ガス漏れ、不完全燃焼による一酸化炭素中毒の心配もありません。

1-2. メリット:災害時の復旧が早い

大きな災害時では、電気、ガス、水道のうち一番復旧がはやいものが電気となります。

1-3. メリット:電気代が安い深夜に電気を使うことで安くできる

従来よりもガス代がかからない代わりに、電気の消費量が高くなります。そこで、深夜の電気料金が一番安くなる深夜に消費電力の高い作業をまとめることで、電気料金を節約するのが一般的です。

例えば、洗濯や食器洗浄機、浴室の乾燥、給湯器など深夜に動かしても支障がなく、かつ電力の消費量が多い家電は、深夜にまとめて動かすようにすることで、電気料金も安くなります。

1-4. デメリット:昼間の電気代が高い

オール電化向けの料金プランは、深夜の電気代を安くするかわりに、昼間の電気代を高く設定されています。

1-5. デメリット:設置費用が高い

オール電化にすると、給湯器をエコキュートに変える。ガスレンジをIHクッキングヒーターに変えるのが一般的でしょう。この2つを設置するだけでも、平均100万円程度かかってしまいますので、導入時の設置費用が高額になります。月々のランニングコストが、ガス代+電気代だったものが、電気代のみかつオール電化用お得なプランになるということで、減らせます。

2.オール電化は新電力に切り替えると安くなる?

2-1. 従来の各地域を統括する電力会社 VS 新電力の発電方法の違い

各地域の電力会社である、「一般電気事業者」(東京電力など)では、原子力発電が主な発電方法になっています。原子力発電は、発電量をコントロールすることができないため、常に一定量が発電されています。各地域の電力会社だけが、原子力発電設備を保有しています。

また、需要家の電力消費量は、使用量のピークが日中にきて、深夜の時間帯が少なくなります。そのため深夜の時間帯には電力が余ってしまうという問題がありました。

深夜の電気使用量を増やすために、深夜の電気代を安くしたオール電化向けのプランを出し、オール電化を普及させてきたという経緯があります。

一方、新電力の発電方法は、バイオマス発電や、太陽光発電などのエコな発電方法を用いている所が多く、発電設備をもたない所は、工場の余剰電力などが供給源となっています。

エコな発電方法は、二酸化炭素を大量に放出しないため地球の温暖化対策になる、燃料は自然のものを使うので調達する必要がない、小型の発電設備で稼働させることができる、などのメリットがあります。

しかし、「発電できる量」で見てみると、原子力発電は、例えば、太陽光発電と比べると約10倍の発電量と言われています。原子力発電は24時間フル稼働できるのに比べて、太陽光発電は、太陽が出ている時にしか発電できません。

バイオマス発電にしても、原子力発電と比べると、発電効率が悪いという点があります。

2-2. オール電化は新電力に切り替えるべきか?

上記で説明したように、一般電気事業者の原子力発電方法では、深夜に発電し続けられる余剰電気の対策として、オール電化向けの安いプランを出すことで、オール電化を普及させてきました。

一方、エコな発電方法を主力とする新電力の場合は、原子力発電よりも発電効率が悪く、稼働が自然環境に影響されるなどのハンデがあるため、オール電化向けの料金プランで比べると、一般電気事業者が出すプランがお得になります。

2-3. オール電化でも新電力に変えて安くなるケース

2-3-1. 電気の使い方

それでは、オール電化では、新電力に乗り換えるべきではないのでしょうか?電気の消費の仕方によっては、考慮する価値があります。

電気代の安い深夜に、タイマーがついている家電(洗濯機や食洗機、給湯器など)を動かすことで、電気使用量のピークを深夜に持ってくる場合は良いのですが、昼間の電気消費量が多く、深夜にそれほど電気を消費しない場合は、新電力に変えると電気代が安くなる可能性があります。なぜなら、深夜の電気代は安く、昼間の電気代は、高く設定されているからです。

ここで、各地域の電力会社の「オール電化向け料金プラン」がどのようなものを出しているのかみてみましょう。各電力会社の料金プランを見てみるとだいたい、一番料金が高い時間帯(昼間)と一番料金の低い時間帯(夜間)を比較してみると、電力料金が、昼間が夜間の2.3倍から3.5倍高くなっています。(一番高い料金から一番低い料金を割った数値で出しています。小数点2位以下は四捨五入しています。)

  • 東京電力TEPCO「スマートライフプラン」
  • 関西電力「はぴeプラン」
    昼間が夜間の2.7倍の電力料金設定になっています。
  • 中部電力「スマートライフプラン」
    「カテエネポイント」が溜まります。昼間が夜間の2.3倍の電力料金設定になっています。
  • ほくでん(北海道電力)「eタイム3プラス」
    昼間が夜間の2.8倍の電力量料金設定になっています。
  • 沖縄電力 「Eeホーム」
  • 四国電力(Yonden) 「スマートeプランプラス」
    昼間が夜間の2.7倍の電力量料金設定になっています。
  • 東北電力 「よりそうプラスナイト12」
    昼間が夜間の最大3.5倍の電力量料金設定になっています。

2-3-2. 合わせ技を使ってトータルで考える

新電力では、インターネット代やガソリン代などと電気をセットで販売することで、割引を出していたり、ポイントがつくサービスを導入していたり、と企業努力により、合わせ技を使ってトータルで考えると安くなる場合があります。

まとめ

オール電化の需要家が、新電力に切り替えるとお得になるのか見てきました。地域の電力会社、一般電気事業者の主力発電方法が24時間稼働の発電効率の良い原子力発電であることで、深夜の電気代が安くなるオール電化むけのプランを利用するのが一般的には安くなります。

しかし、夜間の稼働がない工場や事務所など、昼間の消費電力量が多い場合、自然環境保全に取組む場合は、新電力の出しているプランを検討してみると良いでしょう。

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