LED照明化の導入負担を軽減できる補助金・助成金

多くの企業が毎月かかってくる電気代を
軽減するために日々のこまめな節電対策を
社内ルールで徹底するなど
日々努力を積み重ねていると思います。

実際、小さな節電意識の積み重ねで
消費電力はかなり抑えられると思います。

しかし、
節電のため環境デザインを整えることや
社内ルールを定着させるためには
かなりの労力と時間を要します。

ルールを徹底しすぎたことで
社内全体の雰囲気が神経質になったり
社員の健康管理に支障が出たりなど
長期的に続かないケースもあります。

大幅な省エネをストレスフリーで行なうには
現在よりも電力消費量の少ない機器への
設備投資が必要になってきます。

特に業種を問わずに利用されている従来の照明器具を
LED照明に変えることによって
高い省エネ効果が期待されるため、
導入を考えている方も多いと思います。

しかし、
導入時にかかる初期投資費用を考えると
中々決断に踏み切れない。

そんな場合、
補助金・助成金の制度を利用するのが
おすすめですが…

LED照明を導入するにあたり、
利用可能な補助金・助成金の制度には
様々な種類があります。

1:LED照明の導入と補助金・助成金

そもそも補助金や助成金の制度が
どのような目的で行われているかというと
省エネ効果の高い機器を導入することで
温室効果ガスの排出を削減することです。

ご存知かもしれませんが、
東日本大震災で福島第一原発が
停止したことで電力不足に陥ったのは
未だ記憶に新しいと思います。

原発事故により代替となるエネルギーを
火力発電に求めざるを得なくなり、

老朽化などの理由で休止していた
火力発電所を再稼働させて電力不足を
補う形を取らざるを得なくなりました。

火力発電には多くの化石燃料を
燃焼させる必要があることから
温室効果ガス(CO2)の排出量が
大幅に増加する事態となったのです。

そこから省エネおよび地球温暖化対策に
大きな効果が期待されている
LED照明が注目を集め始めました。

LED照明は従来の蛍光灯などと比較して
数倍も長寿命で消費電力量も少ないことから
非常に高い節電効果が期待されています。

しかし、
一般的に地域のオフィス、工場、店舗などでは
設備投資によって経営圧迫される場合も多く、
LED照明などの低炭素機器の導入が
進みにくい状態となっていました。

そこで、国や地方自治体が
設備導入費用の負担を一部支援することで
導入を促進するのが
補助金・助成金制度の目的です。

補助金・助成金には大きく分けて
国(省庁)が管轄している補助金・助成金制度と
各県の自治体が管轄している補助金・助成金制度が
存在します。

今回は国(省庁)が管轄している
補助金・助成金制度を紹介していきます。

制度によって補助金・助成金の交付条件も
交付される金額の割合も
それぞれ異なりますので、
現在の状況に見合っているかを
比較検討する必要があります。

2:国(省庁)管轄のLED照明に使える補助金・助成金制度

国(省庁)管轄の補助金・助成金には
大きく分けて環境省、経済産業省が
支援する制度に分けられます。

2-1:家庭・事業者向けエコリース促進事業補助金制度

家庭・事業者向けエコリース促進事業は
環境省が支援しているリース型の
制度となります。

家庭、業務、運輸部門を中心に
地球温暖化対策を広めることを
目的にしています。

環境省が定めた基準を満たした
産業用機械や業務用設備等の幅広い分野の
低炭素機器をリースで導入した際に、
リース総額の2~5%を補助する制度です。

なお、補助金申請は環境省から指定を受けた
指定リース事業者が行なうため、
リース先では申請手続きは必要ありません。

また、多くの補助金・助成金制度では
省エネ効果などのモニタリング報告が
必要な場合も多い中、本制度では
モニタリング報告の必要がないことから
比較的利用しやすい制度となっています。

2-1-1:LED照明の補助率

LED照明は低炭素機器の中でも
高い省エネ効果が期待できるため、
2017~2018年の現時点では
4%とやや高めの補助率となっています。

また、
東日本大震災の被災地である
東北三県と熊本県に限っては
補助率は10%と設定されています。

2-1-2:リース契約の条件

リース契約の際に必要となる条件は
以下のものとなります。

・環境省が定める基準を満たす
低炭素機器であること。

・リース契約中の途中解約又は解除は
原則できない。

・ファイナンスリース取引であること。

・リース期間が法定耐用年数の
70%(10年以上は60%以上)の契約であること。
ただし、リースが3年以上の契約であること。

・日本国内に設置すること。

・中古品のリース契約でないこと。

・他の国による機器購入に係る補助金を
受けた契約でないこと。

・1リース契約の補助金の対象となる
低炭素機器部分のリース料総額が
2億円以内かつ65万円以上であること。

エコリース促進事業詳細

2-2:LED照明導入促進事業

LED照明導入促進事業も
環境省による支援によるもので
平成29年度から行なわれている事業です。

平成47年以前に製造されていた
旧式の蛍光灯にはPCB(ポリ塩化ビフェニル)が
使用されおり、使い続けることで人体に
悪影響を及ぼす可能性があると言われています。

未だ相当数存在するPCB使用照明器具を
LED照明に交換し、適正処理を促進することで
大幅な二酸化炭素排出削減を目的としています。

その他、小規模地方公共団体
人口25万人未満の地域を対象に
地域内の照明をリース方式で
LED照明の導入を支援しています。

補助率は事業内容により異なり
以下の条件となります。

・街路灯等のLED照明導入促進事業
(1)LED照明導入調査事業(調査及び計画策定費用)
補助金対象:小規模地方公共団体
補助割合:3/4または定額(上限600万円または800万円)

(2)LED照明導入補助事業(取付け工事費用)
補助対象:民間事業者
補助割合:1/3~1/5(上限1200万円~2000万円)
※補助率は自治体の規模に応じる。

・商店街における街路灯等のLED照明導入事業
LED照明導入補助事業(取付け工事費用)
補助対象:民間事業
補助率:1/3(上限500万円)

LED照明導入促進事業の詳細

LED照明導入促進事業公募内容

LED照明導入促進事業公募要領詳細

2-3:エネルギー使用合理化支援事業

こちらの制度は経済産業省による支援事業で、
法人または個人事業主を対象にしています。

一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)が
取り扱う補助金・助成金制度で
省エネルギーの設備導入を支援しています。

LED照明における補助金・助成金制度には
様々なものがありますが、
規模としては最大級のものとなります。

事業と内容としては
『工場・事業場単位』のものと
『設備単位』の2種類に分かれます。

LED照明の導入のみに関しては
設備単位での省エネルギー設備導入となります。

・工場・事業場単位の場合
1事業あたりの上限額は15億円/年度
下限額は100万円/年度

※複数事業者で実施する
工場・事業場間一体省エネルギー事業の
1事業あたりの上限額は30万円

※複数年度事業の事業全体の上限額は
1事業あたりの上限額は50万円

補助率は設計費・設備費・工事費の
総額に対して1/3以内。

・設備単位の場合
1事業あたりの上限額は3000万円
下限額は50万円
(中小企業、個人事業主の下限額は30万円)

補助率は設備費用に対して1/3以内。

補助率は国管轄の制度の中でも
最大規模になっています。

しかし、
補助金額が大きいだけに申請には
膨大な書類の提出が求められます。

申請の具体的な流れとしては…

申請書類の提出後、
審査と補助金の交付が決定。

発注・工事をして事業開始1ヶ月程度の
省エネ実績データの提出。

補助金交付。

設備導入後の1年間の
省エネ実績データの成果報告。

省エネ事業の継続

このように単純に申請書類の提出だけでなく、
実績データの提出するステップなどがあり、
かなり複雑になっています。

申請期間は1ヶ月ですので、
その間に申請する必要があるのですが、
申請書類は膨大な量となるため、
できる限り事前に準備しておくことが推奨されます。

また、申請書類には大きな負担がかかるため
手続き代行サービスを利用する方も多いです。

一般財団法人環境共創イニシアチブ(SII)公募情報

2-4:地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金

こちらの制度も経済産業省の
支援事業になります。

先ほどのエネルギー使用合理化支援事業は
規模が大きいものの申請に必要な書類や
申請条件や手順が複雑という点があります。

こちらの地域工場・中小企業等の
省エネルギー設備導入補助金は
エネルギー使用合理化支援事業ほど
大きな規模ではありませんが
より申請しやすい制度となっています。

最新モデルの省エネ機器の導入促進等により
エネルギーコスト高を乗り越えるための
企業の体力強化と省エネ投資の促進による
経済活動の活性化を目的としています。

こちらの制度では最新モデルの
省エネ機器等の導入支援である『A類型』と
地域の工場・オフィス・店舗の省エネ促進事業の
『B類型』の2種類の制度があります。

もちろん補助対象には
LED照明も含まれています

2-4-1:A類型

A類型は『最新モデルの省エネ機器等の導入』
の支援する制度となっています。

資源エネルギー庁の資料には
「最新モデルかつ旧モデルと比較して
年平均1%以上の省エネ性能の向上が
確認できる機器等の導入を支援します。」
と説明書きがされています。

さらにSIIが指定するカテゴリーの機器であること。

そして、SII指定の証明書発行団体から
『性能証明書』を発行してもらう必要性が
あります。

A類型の場合、補助対象となるのは
設備費用のみとなります。

設計費用や工事費用に関しては
補助金対象外になるので
その点が注意事項です。

補助金対象カテゴリー表

補助金対象機器等の用語解説集

A類型の補助率は導入費用の1/3以内、
中小企業やエネルギー多消費企業であれば
1/2以内となっています。

また、対象経費下限は
1/3以内の場合は150万円
1/2以内の場合は100万円となっています。

補助金額上限は1事業当たり1.5億円
下限は50万円となっています。

2-4-2:B類型

B類型は
『地域の工場・オフィス・店舗等の省エネ促進』
という形の支援となります。

資源エネルギー庁の資料には
「工場・オフィス・店舗等の省エネや
電力ピーク対策、エネルギーマネジメントに
役立つ既存設備等の改修・更新を支援します。」
と表記されています。

つまり、B類型の支援は既存の設備を
省エネ化や製造プロセスを改善することによって
省エネ効果が見込まれることが
申請の条件となってきます。

また、事業開始後から省エネデータの測定をし、
SIIに実施報告の提出が求められます。

この点においては先ほど紹介した
エネルギー使用合理化支援事業の申請に
近いところがあります。

また、A類型と違うところは、
設備費用だけでなく
設計費用や工事費用も
補助金交付の対象として含まれます。

肝心な補助率についてですが、
エネマネ事業者との連携事業と
その他の事業者という区分で
補助率の条件が変わってきます。

エネマネ事業者とは
エネルギー管理システム(EMS)を
導入した工場や事業所に対して省エネルギー支援を
行なう事業者を示します。

・エネマネ事業者との連携事業の場合
(1)中小企業、エネルギー多消費企業
補助率:2/3以内

(2)その他事業者
補助率:1/2以内

・通常事業の場合
(1)中小企業、エネルギー多消費企業
補助率:1/2以内

(2)その他事業者
補助率:1/3以内

なお、1事業当たりの補助金上限と下限は
以下のように定められています。

上限:50億円
下限:100万円

また、補助金1/3の場合は
補助対象経費が300万円以上、
1/2の場合は200万円以上、
2/3の場合は150万円以上となっています。

地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金事業内容詳細

3:まとめ

今回は国(省庁)が管轄している
代表的な補助金・助成金制度について
解説してきました。

制度によって補助率や条件も
大きく異なりますし、

大きな補助率になるものほど
審査や条件が厳しくなり、
交付決定までのステップも
複雑になる傾向が見られます。

現在、必要な補助と申請の簡易性を
考慮に入れてどの制度を利用するか
検討してみてください。

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