製造業における失敗しないコスト削減の戦術4ステップ

今や、製造業だけでなく、
様々な業種において

「会社の利益を増やしたい」

と考えるときに、

「売り上げを増やすこと」

と同時に

「コスト削減」

を思い浮かべる会社がほとんどだと思います。

しかし、コスト削減といっても
ただ闇雲に手当たり次第したらいいかと言ったら
そうではありません。

きちんとした順番でコスト削減の
作業を進めることが大切です。

きちんとした戦術を立てることで、
コスト削減の効果も大きくなるでしょう。

1.コスト削減をする前に

冒頭お伝えしたとおり、
今や会社の利益を増やしたいと考える際に、
コスト削減は
最初に経営者が考えるべきことでしょう。

しかし、
経営者一人でコスト削減は出来ません。

なにより、従業員の協力がないと
効果的なコスト削減は出来にくいです。

例えば、手っ取り早いコスト削減ということで、
リストラを行うとします。

もしその直後、残った従業員に

「コスト削減に取り組もう」

といっても、その効果はどうでしょうか?

現場に活気がないと
コスト削減もできない場合があります。

ですので、コスト削減を行うなら、
従業員が豊富で、活気があるうちに
行うべきと言えます。

その点を踏まえたうえで、
何のためにコスト削減をするのかを
従業員に伝える必要があります。

コスト削減がもたらすメリットは、
以下のようなものがあります。

  • 取り組めば成果が上がるので、従業員のやる気が上がる
  • 無駄な経費が削減されるので、純利益が増える
  • コスト削減の一部を従業員に還元すると、
    従業員のモチベーションアップにつながる
  • 従業員一丸となることで、組織力がアップする
  • 削減したお金をもとに、戦略的な資金投下ができる
  • より会社が元気になる

このような、流れを従業員に伝えてから
コスト削減を始めることが大切です。

2.コストの把握

販売業であれば、
商品のコストは仕入れ価格になるので
直ぐにわかりますが、
製造業においては製造した製品のコストは
すぐにはわかりません。

ここで、製造業における製品のコストを
確認します。

「材料費」
製品を作るための材料

「労務費」
製品を作るために材料を加工するのに使う費用

「経費」
製品を作るために必要な電気代や家賃などの費用

この3つの費用を計算しないと
コストは把握できません。

そして、この原価を計算する方法は、
2種類あります。

「個別原価計算」
これは、顧客の注文に応じて
製品を個別につくる場合の原価計算です。

製品1つにかかった
「材料費」「労務費」「経費」を集計して
計算する方法です。

「総合原価計算」

これは、同じ製品を連続して
生産する場合の原価計算です。

ある期間(通常1ヶ月)で生産するのに使った
「材料費」「労務費」「経費」を合計し、
それを生産した数量で割って
計算する方法です。

実際はもう少し複雑な計算ですが、
大枠はこの様にして製品のコスト把握ができます。

まずは、自社のコスト把握を行ってみましょう

3.コストの分析

製品のコストが計算できると、
製品1個の価格だけでなく、
「材料費」「労務費」「経費」も知ることができます。

これらがわかると、
製品のコスト削減をする場合、
どこにポイントを置けば良いかも
わかってくることになります。

例えば、同じ製造原価1,000円の製品の内訳が、

材料費800円 労務費150円 経費50円
材料費200円 労務費750円 経費50円

のように、2つある場合は、
コスト削減をするターゲットが
異なってくることになります。
たくさんお金を使っているコストに
ターゲットを置くとその効果は大きくなります。

この様に、原価計算をしておくと、
コストの分析も可能になり、
何をポイントにコスト削減を行えば良いかも
分かることになります。

4.削減方法の検討

コスト削減をするターゲットが分かれば、
そのコストを削減する方法を
考えなければなりません。

先程お伝えしましたが、
「材料費」「労務費」「経費」
この3つにおいて、
それぞれどのような方法があるでしょうか?

4-1.労務費のコストダウン

一番コスト削減がしやすいものは、
「労務費」でしょうか。

いわゆる、人件費となりますので、
リストラしてしまえば、大きなコスト削減が
可能になります。
しかし、このリストラをすることは、
従業員の働くモチベーションを損なう可能性が
大いにあります。

3つの視点から、どのような方法があるか
検討してみましょう。

  • 無駄な仕事を減らす

まずは、仕事内容の見直しをしてはいかがでしょうか。
具体的には、

「重要度、緊急度に応じて割り振りを考える」

というルールを作ることが
大切です。
仕事内容を、
誰が、何を、どのようにやっているのかを
確認するだけでも、
普段は気づかない
無駄な仕事を発見することが出来ると思います。

  • 生産性を上げる

生産性をあげるには、
機械化できることは機械化して、

「効率を上げる」

ということがまず頭に浮かぶと思います。
ただ、そのために設備投資をしてからと考えると
様々なリスクがあり、簡単には出来ません。

その前に、小さなことの改善で効率が良くなったり、
従業員のやる気を起こさせたりできないかを
考えましょう。

ファイルの保管場所や、工具置き場を変更して、
効率を良くする。
奨励制度やコンテスト、成果主義の導入などで
従業員のやる気を起こさせることも可能です。

小さな改善の積み重ねが、
将来は大きな成果になるという
意識を持つことが大切です。

  • 時間あたりの人件費を下げる

これは、先ほどの

  • 無駄な仕事を無くす
  • 生産性を上げる

ということにも似ていますが、
仕事に見合った報酬とするために、
仕事の内容に応じて、
正社員、パート・アルバイトに分けるといった
見直しを考えてみてはいかかでしょうか。

いつも同じような、
パターン業務は、パート・アルバイトに任せ、
ハイレベルな業務を正社員が担当する
ということになると思います。

ただ、従業員のモチベーションを下げない様に、
パート・アルバイトの従業員にも
仕事量に応じたインセンティブを与えるなどして、
会社全体の生産性を下げない工夫も必要です。

4-2.材料費のコストダウン

材料費のコストダウンは、
シンプルに言うと、
「安く、必要な分だけを仕入れて、
不要な在庫を抱えない」

ということに尽きると思います。
以下の、4つの方法を
検討してみてはいかがでしょうか。

  • 一回の仕入れ量を増やす

材料の単価を下げることを検討してみましょう。

毎月一定量の仕入れが決まっているものがあれば、
こまめに発注するのではなく、
一度のたくさんの量を発注することで、
単価の引き下げを交渉できます。

  • できるだけ現金で仕入れる

仕入先の業者が喜ぶ形で仕入れすることで、
単価の引き下げを交渉できます。

業者としては、現金で支払ってもらったほうが、
資金繰りの面で有利になるので
ありがたいはずです。

  • 仕入先を少なくする

材料の単価を考えると、
たくさんの業者から仕入れるより、
いくつかの業者に絞った方が、
一業者あたりの発注数が上がり、
単価の交渉がし安くなるはずです。

かといって、1社に絞ってしまうと、
不慮の事態が起きて仕入れなくなる場合もあるので、
2社もしくは3社くらいがいいと思います。

  • 在庫管理の精度を高める

在庫管理がずさんな状態だと、
過剰在庫や不良在庫を抱えることになってします。
担当者は、どんな材料が不足しているか、
過剰なのかを、的確に把握する必要があります。
これらの精度を高めることで、
結果としてはコストダウンはもちろん、
経営の改善にまでつながる可能性もあります。

4-3.経費のコストダウン

「経費」も多くの種類があります。
電気料金、空調、ガス、水道が主な経費ですが、
今ではそれぞれの経費削減を専門とする
コンサル業者もいますので、
すぐに実行に移すことが可能です。

  • 電気料金の見直し

電気料金の中でも、照明が占める割合は、
全体の約4割と言われますので、
照明の見直しは大きな効果があります。

「インバーター方式」
「LED照明」
「照明の間引き」

と、3つの方法があります。

「インバーター方式」

蛍光灯などの照明器具にこれを採用すると、
電気代の節約につながります。

ただ初期費用がかかるので、
大企業では採用されていますが、
一般的にはまだ知られていない技術です。

「LED照明」

照明をLEDに変えるだけで、
水銀灯に比べ、約8割の電気代を節約できます。

また、熱が極めて低いので、
空調コストも削減できます。

「照明の間引き」

初期費用をかけずに節約できる方法です。
一般家庭と比べると、
企業の作業現場は明るすぎると言われています。

従業員にも見える形で節約できるので、
従業員の意識改革にもつながります。

  • 空調設備の見直し

空調設備が老朽化などで効きが悪くなると、
無駄な電気を消費します。

金属修復技術を用いた
空調性能回復システムを使えば、
電気代の10%~20%を節約できます。

  • ガス料金の見直し

都市ガスの自由化に伴い、
ガス料金を大幅に割引している業者も増えてきています。

これを機に、
ガス料金の見直しをすることをおすすめします。

  • 水道の見直し

「自家水道システム」
「節水弁の取り付け」

という2つの方法があります。

「自家水道システム」

会社の敷地内で水を確保する方法です。
一般的には井戸を掘って地下水を汲み上げ、
水処理装置で浄化して利用します。

「節水弁の取り付け」

こちらは、初期費用が少なく、効果も高い節水方法です。
蛇口に節水弁を取り付けるだけです。
約30%節水できた例もあるので、是非オススメです。

  • 排水や下水道料金の見直し

こちらは、あまり知られていないのですが、
下水道に流れていかない「消失水」という水の量を
下水道料金から差し引くという方法です。
この「消失水」は30%もあるとのことですので、
まず、シュミレーションにより
導入可能かどうかを診断して始めるといいでしょう。

5.検討結果の実施と確認

いろいろな経費削減の方法を検討し、
そして実行しただけで安心してはいけません。

そのコスト削減方法が、
確かに適応されているかを確認する必要があります。

こちらも最初に戻りますが、
原価の計算をして、どのように変化したのかを
数字で判断することになります。

削減実行前と後の数字を比較して、
予想していたものとどう変わったのか、
調べればいいことになります。

思っていたような結果でない場合は、
再度削減方法を検討して、
実施してきます。

これを繰り返すことで、
経費削減が可能になっていきます。

6.製造業のコスト削減戦術のまとめ

いかがでしたでしょうか?

製造業のコストダウンは、
3つのコストを意識して行うことが大切です。

また、どの業種においても同じことが言えますが、
経営者だけが行う経費削減でなく、
従業員全員が
経費削減の意識を持てるような環境を
まずは整えて実行していくことを
忘れてはいけません。

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