新電力とスマートメーターで電気代を大幅削減!

新電力

2016年4月1日から、電力の小売りが全面自由化されました。工場、店舗、学校、病院から一般家庭の全ての対象に、地域を統括する従来の電力会社だけでなく、新しく参入した新電力会社でも電力を売ることが可能になったことで、沢山の新電力会社が市場に参入してきています。

1. 新電力へ切り替えると電気代が安くなる工場

工場、店舗、学校、病院から一般家庭にとっては、新電力に切り替えた方が圧倒的に電気代を節約できるケースがあります。

特に、電力の負荷率(契約している電力量に占める、実際の電力使用量の割合)が低い場合は、電気代の費用を大幅に軽減できます。

負荷率が低くなる場合は以下のような事業所となります。

  1. 瞬間の使用電力量の最大値が大きい
  2. 電気を使用する時間帯と使用しない時間帯の差が大きい

具体的には、負荷率が25~30%以下の事業所になります。例えば、オフィスビルや、入院設備のないクリニック、学校、市役所、銀行、営業時間の短い店舗、冠婚葬祭用の建物、スキー場等です。

従って、電気代を削減したい場合、瞬間の使用電力量の最大値が大きいか、出来を使用する時間帯と使用しない時間帯の消費電力量の差が大きいか、確認をしてみてください。

2. 新電力への切り替時にはスマートメーター設置が必須

現在ご契約の電力会社から、新電力へ切り替える場合、まず契約を変更します。電気は、従来と同じ方法で供給されます。新電力は、東京電力、関西電力など地域の電力会社(一般電気事業者)が管理する送電線を利用して電気を供給します。

次に、「スマートメーター」への設置&交換が必要です。まだスマートメーターを設置していない所は、特殊な例を除き、交換は無料でしてもらえます。

2-1. スマートメーターとは

スマートメーター(Smart meter)とは、電力量をデジタルで計測して、メーター内に通信機能をもたせた次世代の電力量計のことです。

従来では、1ヶ月に一回、アナログ電力量計の針を検針員が目視することで、毎月の電気料金を算出していました。スマートメーターでは、通信回線を使って、消費電力量を30分置きに電力会社に送信します。

電力会社は、自動的に、消費電力量を把握でき検針員の人件費等のコストを削減することができます。

一方需要家(電力の提供を受ける側)にとっては、リアルタイムに電力消費量を確認できます。どの機器が瞬間の使用電力量が大きいのか、消費電力量の多い時間帯、少ない時間帯などの使用パターンが分かるようになります。

2-2. スマートメーターと他の機器との連携で電気代を安くする新技術DR

DR(デマンド・レスポンス、Demand Response)とは工場内などのネットワークを介し、他の電子機器と通信することで、電力の最適化を図るための技術です。今までは、電力需要に合わせて、供給量をコントロールしていましたが、これを、需要家が電力消費量(需要量)をコントロールすることで、電力受給の均衡をとる方法です。

例えば、需要家が、スマートメーターを操作することで、電気機器をコントロールすることで、電気機器の電力使用量の波を平準化したり、電気代の安い時間帯に、電気消費量のピークを持ってくるようにして、電気代を大幅に削減したりすることなどが可能になります。

2-3. DR(デマンド・レスポンス)を使って電気代を安くする。

電力は貯蓄することができないため、消費電力量を満たすために、供給電力量を消費電力量に常に一致させなければなりません。

電力量の使われ方を一般的に見てみると、昼間に多く、夜間に少なくなります。従来は、電力需要のピークに合わせて、電力が供給できるように、発電がされているため、ピーク時意外は余剰電力になってしまうといった問題がありました。

デマンド・レスポンスが様々な所で導入されてくると、市場全体で見た場合に、電力量需要の曲線が、需要家達の調整によって、平準化してくることが予想できます。

例えば、地域を統括する東京電力などの一般電気事業者では、オール家電住宅向けに深夜帯の電気料金を安くし、昼間を2倍以上高くすることで、電力使用量の昼間のピークを減らし、深夜の需要を上げるということをしています。

また、TEPCO(東京電力エナジーパートナー)では、ビル、商店、百貨店、スーパー向けに、夏季とその他の季節及び、時間帯(ピーク時、昼間、夜間)によって、設定電気料金を変えています。夜間の電気料金が、ピーク時の電気料金の約62%になっている割引プランを出したりしています。

2-4. ネガワット取引によって利益を得る

メガワット(Negawatt)とは、需要家が消費電力量をデマンド・レスポンスによってコントロールする「負荷削減能力」のことです。消費電力量をコントロールできる「能力」とともに節電したことにより生じる余剰電力を、発電したことと同等にみなし、それらを売買することが、ネガワット取引になります。

例えば、需要家があらかじめ電力会社と契約を結ぶことで、電力会社が、電力の受給バランスがとれず、供給が逼迫した時に、需要家に節電を要請することで、その需要家にインセンティブを与える仕組みがあります。

2-5. アグリゲーターと提携して報奨金を得る

ネガワット取引では、電力会社又はアグリゲーターと需要家の間の通信経路が確保され、ネガワット量や電力価格などの情報がやりとりされます。そして、実際に削減することができた電力量が電力会社に送信されます。

アグリゲーターとは、ネガワット取引において、電力会社と需要家の間に入って、電力会社からの節電要請と、報奨金の取引を仲介する事業者のことを指します。

例えば、電力会社が、「何月何日の何時頃に、何万kwの電力供給不足の予測が立っているため、節電を要請できますか?」とアグリゲーターに連絡がきます。するとアグリゲーターは、節電を要請できそうな工場などの商業施設に連絡し、節電をお願いします。節電の報酬として、電力会社からアグリゲーターに報奨金が支払われ、アグリゲーターから需要家にその報奨金の一部が支払われることになります。

新電力の一つの「エネット」では、出資元である「NTTファシリティーズ」がアグリゲーターの役割を担っています。エネットから電力供給量逼迫の連絡が、NTTファシリティーズに来て、NTTファシリティーズから、提携工場や商業施設(コニカ、エプソン、サンシャインシティ等)に節電が要請される流れになっています。

2-6. ネガワット取引は、政策によって推進されています

経済水産省では、今後ネガワット取引を普及させていくために様々な取り組みをしていています。その一つとして、「ディマンドリスポンス(ネガワット取引)ハンドブック」が出されたりしています。ハンドブックでは、ネガワット取引概要、キロワット(kw)報酬の説明、取引の流れ、海外での普及状況などが説明されていますので、参照してみるといいでしょう。

まとめ

商業施設、工場、ビル、商店、百貨店、スーパーなどが、新電力に切替えることでスマートメーターを導入し、電気代を削減する方法を説明しました。

スマートメーターは、通常無料で設置してもらうことができ、需要家が、スマートメーターとデマンド・レスポンス技術を使って、消費電力量をコントロールすることで、支払い電気代を安くしたり、余剰電力をアグリゲーターに販売するネガワット取引をすることで、従来の電気コストを大幅に削減することができます。政策としても、経済水産省によって、ネガワット取引普及が推進されています。

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