新電力の仕組みに関わってくる発送電分離と法的分離とは

電力は私たちの生活に欠かせない熱エネルギー資源です。

その電気をめぐる環境が大きくかわりつつあります。国が推し進める電力システム改革と電力小売の自由化に伴う新電力の登場です。

電力を効率よく全ての人が安定して使うには、包括的な仕組みが必要になってきます。

電力システム改革は、これからの日本のエネルギーを考える上でも非常に大切な仕組みです。

発電事業・小売事業については、すでに全面自由化が始まっています。

しかし電力の供給にはもう一つ、「送配電」という重要な役割を担っている事業があります。

この送配電事業の自由化に深く関わってくるのが発送電分離における「法的分離」です。この法的分離によって電力供給はどう変わるのか?新電力の仕組みと併せ、法的分離について説明していきます。

1. 電力システム改革の概要

発送電分離における法的分離の仕組みを理解する上で必要な「電力システム改革」についてご説明します。

法的分離もこの改革の一部ですから、まずは電力システム改革の全貌を把握していきましょう。

1-1. 電力システム改革とは?

そもそも電力システム改革とは、何のために行われているのでしょうか。

一番大きな理由は今までの独占体制からフェアでオープンな仕組みに切り替えることです。

日本の電力業界は長い間、地域の電力会社(東京電力や関西電力など)の独占体制が続いていました。

地域に原則1社の電力会社が、エリア内でも他の地域との間でも競争のない業界だったのです。またお互いの連携も取られていない体制でした。

他地域との連携がないことは電力を効率よく使う上では不都合です。

東日本大震災後の電力不足を思い出していただくとわかり易いのですが、関東地区で足りなくなった電力を他の電気の余っている地域から融通することができず、東京電力は計画停電という形で電力不足に対応しました。

また競争がないことで透明性がなく、公平性もわかりづらい状態にありました。電力システム改革は、それらの仕組みを変えていこうという動きです。

1-2. 電気が届く仕組み

「電力システム」とは、電気を作りその電力を送り、需要家である消費者に売る(届ける)までの一連の流れを指すものです。

つまり電力システムとは「発電事業」「送配電事業」「売電事業」という3つの事業で構成されています。発電事業では、火力発電・水力発電・原子力発電・太陽光や風力など自然エネルギーによる発電など、様々な発電方法で電気が作られています。

作られた電気は発電所から各変電所までは「送電線」で送られ、変電所から消費者までは「配電線」で送られます。この送配電線は、地域の電力会社により日本中に網の目のように張り巡らされています。

発電所で作られた電力はそのままでは使うことができませんから、各変電所で電圧を下げながら、それぞれの需要家に合う電圧にしたものが送られるという仕組みです。これが送配電事業です。

そして売電事業は、このようにして送られてきた電気を最終的に消費者と契約して販売する部門です。

1-3. 電力自由化と新電力

電力システム改革の中で進められた電力自由化により、発電事業と小売事業は2016年4月から全面自由化になりました。新電力はこの自由化によって新規に電力業界に参入した企業です。環境エネルギー庁では、新電力を次のように定義しています。

『新電力は既存の大手電力会社である一般電気事業者(北海道、東北、関東、中部、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄)とは別の特定規模電気事業者である』

また以前は、新電力はPPS(Power Producer Supplier)とも呼ばれていましたが、この名称はわかりづらいということで、経済産業省によりPPSは「新電力」に統一されています。

1-4. 送配電部門の自由化

送配電部門はまだ既存の大手電力会社が独占しています。しかしこの送配電事業も2020年までには「発電会社」と「配送電会社」に分ける「発送電分離」が行われることが決まっています。

これら「発電事業の自由化」「小売事業の自由化」「発送電分離」の全てと送配電網の利用ルールの変更など全てを合わせたものが、電力システム改革であるわけです。

1-5. 送配電部門の自由化が後になった理由

電力が発電から消費者に届くまでには、それぞれの事業で多大な費用がかかります。特に送配電に関しては、日本の隅々にまで電力を届ける必要があるわけですから、かかるコストも膨大です。

このコストを軽減するには、スケールメリットを効かせられる、大きな規模での管理が適しています。そのため現段階では「消費者の利益」を優先するために発電事業、売電事業とは別に改革が進められています。

2. 発送電分離における法的分離とは

2-1. 法的分離の意味

発送電分離には「会計分離」「法的分離」「機能分離」「所有権分離」の4つの方法があります。日本で行われるのは同じグループ企業の中で、「発電会社」と「配送電会社」に会社を分けるものです。

法人格を分ける、つまり法的に経営を分けるやり方なので「法的分離」と言われています。

ヨーロッパなどで行われている発送電分離は、利害関係のない別会社に分けるやり方で、これらは「所有権分離」と言われています。

ちなみに法的分離は、全国的には2020年までに実施されることになっていますが、東京電力だけは2016年4月からすでに送配電部門が分かれています。

2-2. 法的分離と新電力の未来

発電事業と小売事業の自由化により多くの新電力が誕生してきた背景は前述の通りです。では法的分離と新電力は、今後どのような関係性になっていくのでしょうか。

現在は法的分離が行われていないため、送配電事業も地域の電力会社が独占しています。新電力は送配電線を使うための使用料を地域の電力会社に支払っていることになります。

もしそれらの利用料が高くなったり送配電線の利用を制限されるようなことがあれば、新電力の競争力に深刻なダメージを与えることになりかねません。

電力システム改革の仕組みの中で、新電力が活性化して十分な競争が行われることこそ、法的分離の大きなメリットになっていくことでしょう。

3. まとめ

国民の全てが電力を安定して利用でき、かつ最大限に電気料金を下げることを目的に進められてきた電力システム改革。改革が上手く進められるのかどうかの鍵は、新電力による市場の活性化と法的分離の実現にかかっています。

この仕組みが上手く機能していくことで日本の電力エネルギー事情は変わっていきますから、今後も新電力と法的分離の動きには注意を払っていくべきだと考えます。

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