新電力破綻の原因は?破綻事例から見える様々な課題

新電力は現在多くの新規参入者が電力事業を展開していますが、中には資金繰りが上手くいかず倒産や破綻してしまうケースがあります。

今回はその原因と破綻事例から見える課題をまとめました。

1. 新電力の破綻

新電力は経済産業省の審査を受けて、登録申請時に電気の需要に対応することができる供給能力があると判断されて事業登録をしていますが、資金繰りの問題や電力の調達が上手くいかずに破綻してしまう事例があります。

実際、経済産業省は登録審査の際に経営状態は注視をしているようですが、登録の拒否となる条件には該当しないとしています。

電力自由化による小売電気事業者間の競争により、各企業では電力事業のノウハウや技術、設備や資本力が違うので全ての参入企業が成功するのは困難といえます。

以下2つの破綻事例から新電力事業の様々な課題を見ていきます。

1-1. 日本ロジテックの破綻事例

①破綻の内容

2016年には当時新電力シェア5位の日本ロジステック協同組合が破綻しました。負債総額は163億円にも上りました。同組合は破綻の理由を「急激な需要拡大の電力調達ができなかった」としていますが、その背後には業界全体の様々な事情と課題が見えます。

日本ロジステックは破格の値段で電力提供をした結果、多数の自治体や公的な機関が顧客につき、事業を急拡大してきました。急拡大の分、電力調達が困難になりました。

日本ロジテックに電力を販売した自治体は数多くあり、電力代を回収できない自治体や団体は27団体もあります。未回収金の合計額は約40億円にも上ります。

国も再生可能エネルギー賦課金2億円を回収できていない他、東京電力などの大手電力会社も託送料金約18億円を回収できていないという事態になりました。

②破綻の原因

資金繰りを難しくさせた原因はそのビジネスモデルや設備投資が大きな要因です。

自社発電所を持たず、日本卸電力取引所から余剰電力を購入のほか、ごみ焼却場の廃熱を活用して発電している自治体からの電気調達をして、電気コストを抑えたい組合員へ格安で電気を提供していたため、利幅が少ないビジネスモデルでした。

電力調達の際に電力会社に支払うインバランス料金(電力の需要と供給のバランスが崩れた際に支払う料金)や大規模なバイオマス発電建設に144億円もの投資をしたのも資金繰りが困難になった要因です。

さらに関連会社である「日本新電力株式会社」も2017年3月9日付で負債額37億円で破産が決定しました。

日本ロジテックの安定した電力供給を行う為、発電所建設、電力調達コンサルティングなどの事業をしていましたが、日本ロジテックの破綻の影響を受けて資金の支援を失ったため、資金繰りが急速に悪化してしまったのが原因と見られています。

③破綻から見える課題

これらの破綻事例は国が進めてきた電力事業改革においての課題が浮き彫りになった事例になりました。

電力小売の全面自由化は8兆円ともいわれる市場に、新電力が次々と参入していますが、発電設備を備えている新電力は大手のガス会社などがほとんどで、その他の新電力は余剰電力をかき集めるしか電力確保の道がないのが現状です。

自社で発電所を持たない新電力も多い中で競争が激化し価格競争に巻き込まれるケースが多く、サービスに付加価値をつけないとユーザーに選んでもらえないので、電気小売事業はどうしても利益が少なくなり、持続的な利益確保が困難になりやすいといえます。

発電設備が縮小しやすい点も見逃せません。電力は大規模な蓄電が困難な為、必要な時に必要なだけ発電できる設備を有するのが理想ですが、夏や冬の需要期にしか稼働しない大規模な設備は、投資のリターンが生めないので、新規で大規模な発電設備を作るのは困難と言えます。

今後、複数の発電施設と小売部門を有している資金力のある新電力が発展し、それ以外は縮小もしくは破綻するという二極化が進む可能性もあります。複数の発電源があれば、燃料費が上がっても他の発電設備で供給がカバーできます。

ユーザー側も価格が安いだけで新電力を選択するのはリスクがあるでしょう。電力の供給源や経営の安定性なども考慮する必要があります。前述した国の小売電気事業者の登録審査においての課題も今後改善が求められています。

1-2. ZEN POWERの破綻事例

破綻する新電力の中には、業界の中でも大規模な太陽光発電設備を要する新電力もあります。2016年12月22日には福岡県の太陽光製造パネルのZEN POWERが自己破産を申請しました。

負債額は52億円、九州では太陽光関連では過去最高の破綻となりました。FIT(再生可能エネルギーの固定買取制度)開始後以降では3番目の大型破綻となります。

ZEN POWERは2005年12月から太陽光モジュールの製造販売を開始し、高品質の日本製を武器に海外でも販売を開始し、2014年12月には約74億円の売り上げを上げました。

しかし、大口取引先だったドイツ企業に多額の不良債権が出て、資金繰りが困難になり、さらにFIT買取価格の下落により太陽光市場が急激に悪化した影響により経営困難になりました。

太陽光発電のシステム価格は、イタリアやドイツで軒並みに価格の下落が起こっており、国内でもFIT買取り単価も引き下げが起こっています。この流れがZEN POWERの売上高を減少させ、事業継続を困難にさせました。

1-3. 太陽光発電事業の難しさ

2016年は太陽光関連で67件が倒産しており、前年比36件から86.1%の増加となっています。(一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット)

太陽光発電の導入量は最近飛躍的に伸びていますが、その背景には2012年の7月からFIT制度といわれる固定買取制度が開始されたことが背景にあります。しかしその後改正FIT入札制度の導入や電気買取価格の引き下げにより太陽光電事業は厳しい局面を迎えていると言えるでしょう。

その事業の難しさの原因の1つがパネルや設置工事などの初期費用コストが大きくかかるという点です。発電当初は出力あたりの発電コストがどうしてもかさんでしまいます。FIT制度はその発電コストを補う意味もある制度でしたが、その電力買取価格が年々下がってしまいました。

2016年度で1kW/時あたり24円(企業向け)で初年度よりも40%減少、家庭向けで33円で初年度より21.4%減と大幅にダウンしています。経済産業省が決めているこの買取価格の下落が太陽光発電に関連する企業の経営を難しくしています。

今回の電力小売自由化で、太陽光関連企業にはエコ意識が高いユーザーに支持されるのではないかという期待があり、FIT制度に頼らなくても大丈夫なのではないかという見方もありましたが、

実際には、破綻件数は過去最高更新しています。

太陽光のみならず、風力、バイオマス発電などのグリーン電力を売りにしている新電力は苦戦している新電力が多いです。FIT制度の買取価格下落の他にもう一つの要因が専用電線がないという点です。

結局、エコで発電しても既存電力会社の電線ネットワークを通して託送されるので原発や火力で発電した電力と送電の途中で混ざってしまいユーザーは違いが感じられにくいという現実があります。

さらに太陽光をはじめとするグリーン電力には発電能力に限界があり、天候や、昼夜の発電量に差が出る点、季節によっても発電量に変動が出る為、顧客を増やしても供給が追いつかないという問題点もあります。

さらに国内市場の成長が鈍り、中国製ソーラーパネルとの価格競争に巻き込まれて利益が出しにくくなっている点もあります。

1-4. グリーンエネルギーの今後は?

しかし、太陽光をはじめとするグリーンエネルギーは長期的に見ると希望がないわけではありません。

ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスというエネルギー分野の有力調査機関によれば、2040年には、太陽光と風力の全世界の発電量に占める割合が火力発電を抜いて世界最大になるという見通しを発表しました。(New Energy Outlook(Neo))2016)

さらに発電量も2016年から2040年までには約7倍に増え、天然ガス発電量の2倍、原子力発電の3倍の発電量になるということですので、長期的に見れば電力供給の主役の電源になる可能性があるということが言えます。

さらに発電コストも2040年には現在より60%ダウンするというので、事業者にとっては利益がでやすくなるはずです。現在の状況から不採算事業としてだけ見るのではなく、今後、未来を見据えた国と関連企業の取り組みが必要でしょう。

2. 新電力が破綻した場合の対処方法

もし新電力が破綻した場合は以下の手順を踏む必要があります。

  1. 契約中の新電力から電力供給ができなくなる通知が届くので確認をする。
  2. 通常は地域の電力会社の「従量電灯」に戻れるという記載があるので確認をする。
  3. 新しい新電力を選択し契約するか、地域の電力会社に一旦戻るかを選択する。
  4. 契約したい電力会社に契約したい意向を連絡をする。

急な停電の心配はないのでその点は問題ありませんが、以上の手続きをスムーズに行う必要があります。

因みに電気料金を大家さんに収めている場合や、一括受電形式(マンションで電力を一括して電力を購入し供給をうけている)のマンションに事務所などがあるケース、一部のオール電化住宅、離島などは契約変更ができない場合がありますので注意をしましょう。

まとめ

現在、新電力は新規参入事業者が増えていますが、電力の需要と供給のバランス、販売価格競争から利幅が取りにくいなどの理由から破綻する新電力も出てきています。

グリーンエネルギーの太陽光などもFIT価格の下落、初期費用のコスト、天候や季節による供給量の限界、国内需要の縮小化などの理由で厳しい環境にあると言えるでしょう。

今後は国や電気小売事業者も業界の発展の為に対策が急務です。

ユーザー側も契約している新電力会社の状況は日頃からしっかりとチェックをしていき、案内や重要なお知らせなどは見逃さないようにしたいものです。

また新電力を選択する際には事業者のビジネスモデルや経営状態を確認してから選択する方が無難と言えるでしょう。

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