LED照明が誕生するまで、蛍光灯が省エネの救世主的な扱いをされていきました。
そのため、蛍光灯は白熱電球に比べ消費電力が少ないことから、多くの会社で使用されてきています。
LEDが誕生した当初は価格が高いこともあり、LED化が急激に進むことはありませんでした。
皆さんの記憶にもある2011年3月11日に「東日本大震災」によって発生した電力不足により日本中が混乱しました。
これがきっかけとなり政府は、本格的にLEDを推進していこうと動き出したのです。
ここでは、LED照明と蛍光灯を比較してそれぞれのメリット、デメリットについて見ていきましょう。
蛍光灯のメリット・デメリット
蛍光灯は、ガラス管内でアルゴンガスと少量の水銀によって発生する放電により紫外線を発生させ、蛍光物質に充てることで可視光線を発生させる光源です。
ここでは、蛍光灯のメリット、デメリットについてご紹介します。
蛍光灯のメリットとは
まだまだニーズが高い蛍光灯のメリットについて見ていきましょう。
(蛍光灯のメリット1)低価格
蛍光灯のメリットは、何といっても低価格であることです。
会社では日中でも照明をつけて作業をしているため、低価格であることは大切な条件といえるでしょう。
(蛍光灯のメリット2)空間に合った光が作れる
蛍光灯は、内部に蛍光物質を塗装することで、昼光色、昼白色、温白色、電球色など種類を変えることで様々な光の色を作り出すことができます。
(蛍光灯のメリット3)照らせる範囲が広い
蛍光灯は幅広い範囲を明るく照らすことに向いている照明です。
アクセント照明としてフロアーライト、ペンダントライト、ディスプレイ空間など多くの場所で活用されています。
蛍光灯のデメリットとは
数年前まで多くの場所で使用蛍光灯です。
今、なぜ蛍光灯の生産中止の危機にあるのか、デメリットについて見ていきましょう。
(蛍光灯のデメリット1)調光コントロールが難しい
蛍光灯は微妙な光の調整が難しく、特有のチラツキがでてしまいます。
そのため、目の疲れ、視力の低下につながる原因となります。
(蛍光灯のデメリット2)寿命が短い
蛍光灯は、寿命が近付くと蒸発したフィラメントが内部に付着することで、暗くなっていきます。
そのため、寿命が短いだけでなく、最後まで快適に使い切ることができないところもデメリットといえます。
LED照明のメリット・デメリット
LEDはLight Emitting Diodeの頭文字をとった略語で、「発光ダイオード」と訳されます。
蛍光灯とはちがい、半導体結晶の中で電気エネルギーが直接光に変化する仕組みを利用した光源となっています。
ここでは、LEDのメリット、デメリットについてご紹介します。
LEDのメリットとは
今政府からの強い要望がありLED化が進みつつあります。
どんなメリットがあるのか、見ていきましょう。
(LEDのメリット1)長く使用ができる
LEDの大きな特徴といえるのは、省エネ・長寿命があげられます。
天井が高い場所などの照明の交換にコストがかかるところには大きなメリットではないでしょうか。
(LEDのメリット2)調光のコントロールが可能
高輝度で調整が可能なため、新しい光源として注目されています。
LEDに流す電流によって、調光のコントロールが可能です。
(LEDのメリット3)ランニングコストが安い
LEDが発売された当初、ランニングコストは蛍光灯と比べてもそれほど差がありませんでした。
年々開発が進み、高輝度にも関わらず省電力な商品が増え、ランニングコストが低く抑えられるようになってきました。
(LEDのメリット4)紫外線・熱線が少ない
LEDを使用することで、紫外線による影響から起こっていた美術品、衣類などの退色が無くなります。
また、熱線が少ないため、食品などへのダメージが防げるようになりました。
(LEDのメリット5)衝撃に強い
事務系オフィスの照明では、あまり関係の無いメリットかもしれませんが、衝撃に強く、壊れにくく創られています。
屋内あるテニスクラブ、バッティングセンターなど、ボールがぶつかった時の衝撃にも耐えられるようになっています。
LEDのデメリットとは
メリットばかりが注目されるLEDですが、ここでは、どんなデメリットがあるのか、見ていきましょう。
:(LEDのデメリット1)初期投資の負担が大きい
規模が大きな会社であれば、初期費用が高いのは、経費負担が大きくなり、LEDへの移行に二の足を踏んでしまいますよね。
短期的な思考だと経常利益に大きく影響するため、LED化するための説得材料をしっかり揃えておかなければ、進めていくことが難しいのではないでしょうか。
(LEDのデメリット2)熱に弱い
LEDの発熱量は少なく、照明に触れても火傷をする程ではありません。
しかし、高熱に弱く、高い照度での長時間点灯には向きません。
そのため、密封された場所で利用すると発火する可能性があります。
LEDの周りに紙やプラスチックなどで覆ってしまうことにより発生する、事故には気を付けなくてはいけません。
(LEDのデメリット3)照らせる範囲が狭い
LEDを使用している車のヘッドライトをみても分かるように、正面への明かりはまぶしいくらい強い光を放ちます。
この光が、角度を変えることで驚くほど激減しませんか。
LEDの明るさの範囲は見る角度によって差が発生するのです。
そのため、一部分を明るくすることには優れていますが、
広範囲を明るくすることは向いていません。
LED各メーカーの動き
政府は2020年を目標に積極的に、LED化を進めようと動いています。
2012年には、照明メーカーや小売店で構成されている「省エネあかりフォーラム」でLEDの普及促進を要望しました。
まだ消費者のニーズがあるにも関わらず、この時既に大手家電メーカーでは、一般家庭用の生産を終了させていたところがありました。
政府からの要請を受けて大手家電メーカーのひとつパナソニックは、予定していた生産終了期間を前倒にするなど、代替できない白熱電球を除き徐々に生産が中止されていくことになったのです。
2015年になるとパナソニックは、2018年度中に蛍光灯の生産を完全に終了することを発表。
ホームページ上では、生産中止となった商品一覧に多くの蛍光灯商品が掲載されています。
⇒パナソニック生産終了品一覧
2016年TOSHIBAはホームページ上で「効率の劣る既存器具のLED照明器具への 置き換えを順次進めている…」といった文章を公表しています。
⇒蛍光灯器具の製造中止について
このように、政府主導のもとLED化への移行が着々と進められています。
蛍光灯とLEDのメリットデメリットのまとめ
省エネと言えば、LEDと言われるくらいの認知度になってきました。
LED電球の価格と、蛍光灯の価格は倍くらい値段が違います。
そのため照明器具の少ない小規模のオフィスだと、なかなかコスト回復の実感が得られないでしょう。
それに対し大規模な会社では、初期費用の経費計上は大きくなるものの、助成金により導入時の経費も抑えられます。
また、LED導入後には財務諸表上光熱費の項目である販売費及び一般管理費に占める割合が低く抑えられることで実感できます。
また、LEDはランニングコストが蛍光灯と比べ断然低いことから2、3年後には会社の費用全体でみてもコスト削減に大きく繋がっていることが分かるはずです。
社内でLED化を円滑に進めるためには、正しい知識をもつことが大切です。
官公庁や独立法人が行っている助成金について、LED化することで必ず受給できるわけではありません。
募集されている業種、期間、要項が異なり、募集条件に合わなければ受給できないことを知っておいてください。
そのために、自社の状況を整理し、助成金の最新情報を調べベストなタイミングを逃さないようにLED化を進めていきましょう。
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